個人事業主として稼働する軽貨物ドライバーが担当する案件では、一般的に配送した荷物の個数で報酬が決まる成果報酬制が採用されています。成果報酬制で稼働するドライバーにとって重要になるのが、同じ時間でどれだけ多くの荷物を運べるかということです。

配送スキルの高いドライバーの中には、1日100個を超える荷物を届けている方も多くいます。ただし、再配達や交通渋滞などによるタイムロスが発生する可能性が常にある中で、1日100個、150個といった数字を達成するのは決して簡単ではありません。

今回のコラムでは、軽貨物ドライバーが1日100個以上の配送を目指すために必要な条件やコツを解説していきます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

軽貨物ドライバーが1日に運べる荷物の個数は?

フルタイムで稼働する軽貨物ドライバーが1日に配送できる荷物は、約70~100個だとされています。

ただし、実際に配送できる荷物の個数は、ドライバーの配送スキルによって大きく変わってきます。未経験で業務に慣れていない方の場合、1日50個以下の荷物しか運べないケースも珍しくありません。

一方で、中には150個を超える荷物を1日に運びきる方もいますが、こうしたケースではドライバーの高い配送スキルの他、様々な条件が揃っていると考えられます。軽貨物ドライバーが同じ時間でより多くの荷物を運ぶための条件については、この後解説していきます。

軽貨物ドライバーが1日100個配送するための条件

軽貨物ドライバーが1日100個の荷物を配送するために必要な条件として、主に以下が挙げられます。

  • 配送エリア
  • 稼働時間
  • 案件の質
  • 当日の天候・交通状況

配送エリア

配送スピードを上げるために重要なポイントの1つとして、ルート選択が挙げられます。配送先が密集している場合は一気に荷物を届ける、時間指定がある配送先に向かうタイミングを見極めるといった工夫により、無駄な移動や遠回りを避けることが可能です

初めて配送するエリアに比べると、何度も配送に訪れて見慣れた地域の方が当然スムーズにルートを最適化できるでしょう。地図をこまめに確認する、駐車場を探すといったタイムロスが発生しづらいためです。

  • 信号待ちの時間が長い
  • 配送先から離れた場所にしか駐車場がない
  • 多くの住民が不在にしており再配達が多い
  • 割り当てられたエリアが広く移動距離が長い

上記のようなエリアの特性も、配送スピードに影響します。ただし、配送しやすい地域の近くにある運送会社と契約することはできますが、担当エリアは自分で選べないことが多く、希望のエリアで稼働できるとは限りません。

稼働時間

1日あたりの稼働時間が長ければ、当然運べる荷物の個数も増えます。軽貨物ドライバーが1時間に運べる荷物の個数が10~20個程度とされていることを踏まえると、1日100個を達成するためには約5〜10時間の稼働が必要だと言えます。

案件の質

ドライバーに割り当てられる業務内容や配送先の特性などによっても、運べる荷物の量は変わってきます。

  • 不在にしている住民が多く再配達によるタイムロスが大きい
  • 割り当てられる荷物の個数が少ない
  • 配送や積み下ろしに加え荷物の仕分け作業も割り当てられて業務が滞る

上記のようなケースでは、いくらドライバーの配送スピードが早くても思うように荷物の数を伸ばせないでしょう。

ただし、配送する荷物の個数を増やしたいがために、細かく条件を指定して案件を選り好みするのはおすすめできません。請けられる案件が限られてしまい、十分な案件数を確保することが難しくなるためです。

当日の天候・交通状況

雨や雪の日は事故に巻き込まれるリスクが高く、いつも以上に安全運転が求められます。荷物や伝票が濡れないよう慎重に業務を進めなければならず、晴れの日に比べて1個あたりの荷物を運ぶ時間はどうしても長くなってしまいます。

当日の交通状況も決して無視できない要素です。交通渋滞に巻き込まれてしまうと移動に時間がかかり、思うように業務を進めることができません。

天候をコントロールすることは不可能ですが、交通渋滞に関しては回避できるケースもあります。業務にあたる前に、配送エリアの交通状況をある程度把握しておくと良いでしょう。

軽貨物ドライバーが雨の日の配送にあたる際の対策や常備しておくべきグッズなどについては、下記の記事に詳しくまとめています。興味のある方は、ぜひこちらも合わせてチェックしてみてください。

配送単価が高い案件で数をこなすのは難しい

成果報酬制で稼働する軽貨物ドライバーの報酬は、「配送した荷物の個数×荷物1個あたりの配送単価」で決定されます。そのため、配送する荷物の個数と同様、配送単価も売上を伸ばす上で重要な要素です。

軽貨物運送業における配送単価の相場は約150〜200円と言われていますが、中には300円を超えるような、相場を大きく上回る案件も存在します。

高単価の案件を数多くこなせるのが理想ですが、配送単価が高い案件は配送距離が長かったり、運ぶ荷物のサイズや量が大きかったりと時間がかかるものがほとんど。高単価の荷物だけをたくさん運ぶのは難しいです。

軽貨物ドライバーが1日に運べる荷物の個数を増やすコツ

軽貨物ドライバーが1日100個の荷物の配送を目指す上で取り入れるべきコツとして、以下が挙げられます。

Point

・まずは業務に慣れる
・配送ルートを最適化する
・配送エリアの交通状況・駐車場を事前に把握する
・荷物の積み方を最適化する
・受け取り主が在宅しているタイミングを掴む

まずは業務に慣れる

「次は何をすれば良いか」と都度頭で考えながら業務にあたっているうちは、思うように配送スピードを上げることは難しいでしょう。「考えなくても身体が勝手に動く」状態で業務を進められるよう、まずは回数をこなして業務に慣れることが大切です。

配送ルートを最適化する

先述した通り、ルートを最適化することは配送スピードを上げるために重要なポイントの1つです。頻繁に担当するエリアであれば、地図を見なくてもスムーズに移動できるよう道を覚えるというのも、基本的ではありますが有効な対策だと言えます。

地図アプリや配達ルートの最適化に特化したアプリを活用するのもおすすめです。

地図アプリでは、複数の配送先を一度に入力して最短ルートを検索することができます。交通渋滞や道路工事などの情報をリアルタイムで把握し、最適なルートを提案してくれるのも嬉しいポイントです。

昨今注目を集めている配送ルート最適化アプリは、伝票を読み取って自動で配送ルートを設定してくれる優れ物。中には荷物の積み方まで提案してくれるものもあります。

ただし、搭載されている全ての機能を活用しようと思うと、およそ1,000~3,000円の月額料金が発生する場合がほとんどである点に留意が必要です。

配送エリアの交通状況・駐車場を事前に把握する

先述したように、配送エリアの交通状況を事前に確かめておくと、渋滞に巻き込まれるリスクを軽減することができます。

エリア内のどこに駐車場があるかを把握しておくのもおすすめです。配送先の近くにある駐車場を見つけておけば、移動中に駐車場を探す手間を省けるだけでなく、徒歩での移動距離を短くすることが可能です。

荷物の積み方を最適化する

配送車に闇雲に荷物を積み込んでいると、荷物を取り出すたびに手間取ってしまい大きなタイムロスが発生するだけでなく、荷物が崩れて破損するリスクも高まります。荷物の配送順やサイズ、重さを考慮し、車内のスペースを最大限に活用して積み込むことが重要です。

軽貨物ドライバーにぜひ実践してほしい荷物の積み方については、下記の記事に詳しくまとめています。興味のある方は、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

受け取り主が在宅しているタイミングを掴む

軽貨物ドライバーが業務を進める上で、再配達はタイムロスの大きな要因となり得ます。住民を呼び出してしばらく待機する、不在票を記入する、住民に連絡を取るといった、本来必要のない工程が発生するためです。

宅配便の再配達率は約10%とされており、軽貨物ドライバーにとって、再配達への対処によるタイムロスは避けては通れない問題だと言えます。

よく担当するエリアであれば、受け取り主のライフスタイルを把握しておくと良いでしょう。住民が不在の時間帯を避けることで、再配達の件数を減らせます。

無駄のない業務で1日100個以上の荷物を配送しよう

稼働時間をはじめ、当日の天候や交通状況といった条件を満たしていなければ、軽貨物ドライバーが1日100個の荷物を配送するのは難しいケースもあります。

しかし、今回ご紹介したコツを取り入れて業務の無駄をできる限りなくしていけば、スムーズに業務を進めて配送個数を伸ばしていくことは十分可能です。

業務を効率化する上で重要なポイントとなる配送ルートや荷物の積み方には膨大なパターンが存在し、共通の正解はありません。案件数をこなす中で工夫を重ね、自分にとって最適なやり方を見つけてみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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