これから業務委託ドライバーになる方がまず用意しなければいけないのが車です。事業所でレンタルできる場合は例外として、自分の車がないと配達業務をこなすことができませんよね。

一般的に業務委託ドライバーが使用するのは軽貨物車ですが、その種類は意外に多く、中古車まで視野に入れたらどうやって選べばいいのか戸惑ってしまうでしょう。

今回は軽貨物におすすめの車種から正しい選び方まで詳しく解説するので、これから検討する際はぜひ参考にしてください。

軽貨物車の選び方

早速、軽貨物車の正しい選び方を紹介していきますが、業務委託ドライバーが使用する軽貨物車といえば軽バンを指すことが多いので、その前提で解説していきます。

そして一般的に車を購入する際は様々な比較項目がありますが、軽バンの場合は特に以下の4つが重要になってきます。

  • 燃費の良さ
  • 荷室の広さ
  • 安全装置の有無
  • 駆動方式

燃費の良さで選ぶ

業務委託ドライバーにとって最大のランニングコストの1つはガソリン代。たくさん配達しようとすると、当然それだけガソリンも消費します。

そのため、配達用の車としてはどれだけ燃費が良いかが非常に大切です。フルタイムで働く業務委託ドライバーのガソリン代は1ヶ月で約20,000〜30,000円ですが、単なる移動距離だけでなく、車の燃費も大きく影響します。

ちなみにほとんどの軽バンの燃費は15km/L前後。ガソリン車としてはまずまずの性能ですが、とはいえ車種によって微妙に差があります。

荷室の広さで選ぶ

現在市場に出回っている軽バンの車種はいくつかありますが、ボディそのもののサイズはどれもほぼ同じ。というより、軽バンに限らず軽自動車は規格を超えないギリギリのサイズで設計されるのが一般的なので、ボディサイズが同程度になるのは必然といえるでしょう。

しかし、荷室の広さは別です。ボディサイズは同じでも、荷室の広さは車種によって意外に差があったりします。

また、荷室の奥行き×幅×高さの合計の容量が少ない車種でも、形状によって荷物の積み下ろしがしやすかったりもするので、実物を見比べてみるのがベターでしょう。

安全装置の有無で選ぶ

業務委託ドライバーにとって心配なのはやはり事故です。1日で運転する距離が長ければ長いほど、事故に遭う可能性も高くなりますよね。

その対策として重要なのが安全装置。近年は安価な軽バンでも自動ブレーキや危険運転時の警報といった安全装置を搭載しているものは少なくありません。新車でも標準装備、あるいはオプションで取り付けられます。

その分購入費用は高くなりますが、万が一のリスクを軽減できると考えると、きちんと安全装置を搭載している車種がおすすめです。

駆動方式で選ぶ

最後に紹介するポイントは駆動方式です。要は前輪(あるいは後輪)のみがアクセルと連動する2WDか、全てのホイールが駆動する4WDかということです。

価格は4WDの方が高くなりますが、主なメリットは力強く、安定した走行が可能になるということ。例えば、冬場によく雪が降る地域や、舗装されていない悪路、傾斜がきつい坂道が多い地域などでそのポテンシャルを発揮するでしょう。

一方で若干燃費が悪くなるといったデメリットもあるので、上記に当てはまらない場合は基本的に2WDでも不便することはありません。

おすすめの軽バン3選

それではおすすめの車種を紹介していきますが、今回は人気の軽バンを3種類まとめていきます。いずれも街中で見かけることも多いですが、具体的にどのような特徴があるのか、しっかり比べた上で購入を検討してください。

  • スズキ エブリイ
  • ホンダ N-VAN
  • ダイハツ ハイゼットカーゴ

スズキ エブリイ

引用:スズキ株式会社

新車価格 991,100~(円)
燃費 14.6~17.2(km/L)
荷室の広さ 1,820×1,280×1,240(mm)

※型式・グレードなどによって異なります。

国内で流通している軽バンの中で、最大のシェアを誇るのがスズキ エブリイです。

  • 燃費
  • 荷室
  • 安全装置

など、前述したポイントを全て高い基準で満たしている上、価格もリーズナブルと実用性に関しては文句のつけどころがありません。メーカー全体で安全装置の導入も積極的です。

非常にバランスが良く、軽貨物のスタンダードともいえる車種であり、中古市場でも幅広い車体が出回っています。

ホンダ N-VAN

引用:本田技研工業株式会社

新車価格 1,337,600~(円)
燃費 17.0~19.8(km/L)
荷室の広さ 1,510×1,235×1,365(mm)

※型式・グレードなどによって異なります。

普段使いもしたくなる可愛らしいデザインなのがホンダのN-VANです。他の車種と比較して価格相場は高いですが、その分性能面が充実しています。

例えば、床が広く設計されていたり、助手席側がピラーレス(助手席と後部座席の間に柱がない)仕様になっていることで荷物の積み下ろしがしやすく、ドライバーにとってありがたい設計です。

加えて、軽バンの中では最高レベルの低燃費で、ダッシュボードやシートなどの内装も本格的。本気で業務委託ドライバーとして活動していく方にはぜひおすすめしたい車種となっています。

ダイハツ ハイゼットカーゴ

引用:ダイハツ工業株式会社

新車価格 1,045,000円~(円)
燃費 14.7~15.6(km/L)
荷室の広さ 1,755×1,350×1,210(mm)

※型式・グレードなどによって異なります。

3つ目に紹介するのはダイハツ ハイゼットカーゴです。

こちらも他の2種類と肩を並べる人気車種となっていますが、最大の魅力は荷室の広さでしょう。数字で見るとわずかな差かもしれませんが、実際に比較してみると意外に違いを感じられます。

また、配送業者に好評なのがベルトやロープを固定できるユースフルナットが荷室に付いていること。ドライバーにとって荷物の破損は1つの心配事項ですが、もし取り扱いに注意が必要な荷物があっても、しっかりと固定できます。

各車種のOEM車もおすすめ

  • スズキ エブリイ
  • ホンダ N-VAN
  • ダイハツ ハイゼットカーゴ

紹介したこれら3種類の軽バンですが、OEM車も候補に入れておきましょう。

OEM車とは、他社が開発・製造した車種を自社用の仕様に変更して販売している車のこと。エンブレムなど、外装・内装に関して細かい違いはありますが、基本的な構造や性能は同じです。

例えば、マツダのスクラムワゴンはエブリイのOEM車であり、性能や価格にほとんど違いはありません。以下は各車種とそれぞれのOEM車一覧となっているので、特に中古車を探す際は参考にしてみてください。

スズキ エブリイ マツダ スクラムワゴン
日産 NV100クリッパー
三菱 ミニキャブバン
ダイハツ ハイゼットカーゴ トヨタ ピクシスバン
スバル サンバーバン
ホンダ N-VAN

中古車を購入する際の注意点

価格を抑えるために中古車を検討している方も多いですが、車種の次に重要といっても過言ではないのが年式と走行距離。この2点で価格も大きく変化するので、詳しく解説していきます。

年式は何年落ち以内にすべき?

まず年式に関してですが、やはり軽貨物ドライバーはたくさん運転する分、車の劣化も早いです。

そのため、購入から数年は使用するという想定であるなら、おすすめの年式は6年落ち以内。それ以上の年式になると、せっかく購入しても数年も耐えられない、あるいは既に十分な性能を発揮できない可能性があります。

また、一般的に10年落ち以上になった軽自動車の価値はほぼゼロになります。既に7,8年落ちになっている軽自動車だと、寿命も短い上、リセール時も値段がつかなくなってしまう可能性が高いため、その点も踏まえて選びましょう。

走行距離は何キロ以内にすべき?

次に走行距離について、おすすめはおよそ3万km以下の車体です。

一般的な自家用車であれば1年間に1万kmが平均ですが、配達用に使用すると年間5万km以上走行することも珍しくありません。平均を大きく上回ることになるので、長く使用するには走行距離が短い車体を選択すべきといえるでしょう。

ちなみに「走行距離が10万kmを超えた車はもう走れない」というイメージを抱いている方は多いですが、現在の国産車は軽自動車を含めて耐久性がどんどん上がっています。仮に走行距離がそれなりでも、比較的年式が新しい車体である場合、乗り方や整備に問題なければ10万km程度は何の問題もなく走行できます。

軽貨物は必ず実車を見て比較しよう

業務委託ドライバーにとってなくてはならない車。その性能は業務に直結し、金額も大きいため、実際に購入する際は慎重に検討しましょう。

もし自分で決められない場合は販売店のスタッフに何でも聞いてみてください。予算や希望を踏まえて、ぴったりの車種を提案してくれるでしょう。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。