オンライン通販の普及により、なくてはならない仕事として需要が高まっている軽貨物ドライバー。
将来性や安定した仕事の供給が期待できる業界だけに、軽貨物ドライバーとしての開業を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、軽貨物運送業を開業するための手順や、開業に必要な資金の内訳などをご紹介します。
軽貨物ドライバーとして成功する秘訣も解説しているので、ぜひご覧ください。
目次
軽貨物ドライバーとして独立するメリット
正社員としてではなく、軽貨物ドライバーの個人事業主として独立するメリットを6つご紹介します。
- 働けば働くほど稼げる
- 定年がない
- 開業しやすい
- 将来性がある
- 人間関係の悩みが少ない
- 副業しやすい
働けば働くほど稼げる
軽貨物ドライバーとして独立する最大のメリットは、労働時間を自由に決められるため、働けば働くほど収入が増えることです。
個人事業主は労働基準法による制限がなく、稼働時間やタイミングは全て自分次第。夜間や週末にも自由に働けるため、努力次第で収入を大幅に増やすことができます。
稼働時間に比例して収入も増えるため、やりがいを感じながら働けます。ただし、自由に働く時間を決められるといっても、健康を害するような無理な働き方や、深夜等非常識な時間に配送を行うことができないため、稼げる金額にはある程度上限があることを認識しておきましょう。
定年がない
軽貨物ドライバーは個人事業主として働くため、定年がありません。
体力が続く限り自分の意志で働き続けられます。年齢に制限されず、健康であれば長く続けられる職業です。
定年後の収入源としても活用でき、経済的に安定した生活を支える手段となります。
開業しやすい
軽貨物ドライバーとしての開業は比較的簡単で、初期費用も抑えられるのが魅力です。
開業に必要なのは普通自動車免許と軽貨物車両等、基本的な手続きのみです。手続きも許可制ではなく届出制なので、書類を揃えればすぐに開業できます。
サラリーマンやフリーランスの副業としても始めやすいです。
将来性がある
ネット通販の普及に伴って配送ニーズが増え続けているため、軽貨物運送業の需要は今後も高まると予想されます。
長期的な視点でも安定した収入が見込める点は、軽貨物運送事業を開業したいと考える新規開業者の方にとっても、1つの安心材料になるのではないでしょうか。
人間関係の悩みが少ない
軽貨物ドライバーの仕事は基本的に1人で行うため、人間関係のストレスが少ないです。
一般的な会社とは異なり、上司や部下といった職場での上下関係もない場合が多いです。職場の人間関係に悩まされることなく、自分のペースで仕事を進められます。
また、お客様との関係も短期的な場合が多いため、人間関係による長期的なストレスが少ない環境で働けます。
副業しやすい
軽貨物ドライバーは副業としても最適です。
稼働スケジュールを自由に設定できるため、週末や夜間など自分の空いた時間を有効に活用できます。自分の生活リズムに合わせて無理なく働けるのが魅力です。
副収入を得たい人や、仕事の合間に収入を増やしたい人にとって理想的な職業と言えます。
軽貨物運送業の具体的な開業方法と流れ
ここでは、軽貨物運送業開業までの4つのステップをご紹介いたします。
- 軽貨物車と駐車場を用意する
- 運輸支局に開業を届け出る
- 保険に加入する
- 軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する
軽貨物車と駐車場を用意する
まず、軽貨物運送業を始めるには軽貨物車と駐車場を用意する必要があります。
軽貨物車両は軽トラックや軽バンが主流で、購入・リース・レンタルのいずれかの方法で用意するのが一般的です。中古車を購入する場合は、車検証の用途を貨物に変更する必要があるので注意しましょう。
駐車場は、営業所から2km以内の場所に確保する必要があります。賃貸や、自宅を営業所兼駐車場にすることも可能です。
運輸支局に開業を届け出る
次に、営業所の管轄区域の運輸支局に開業手続きに関する書類を届け出ましょう。
必要書類は下記の4つです。車検証のコピー以外の種類は、運輸支局の窓口、またはWebサイトからダウンロードできます。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 事業用自動車等連絡
- 運賃料金設定届出書
- 車検証のコピー
また、運輸支局以外に届け出が必要な書類として、開業から1ヶ月以内に、管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(国税庁ホームページで入手可能)の提出が必要です。
また、開業から2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出すると、節税効果の高い青色申告での確定申告が可能になります。
保険に加入する
軽貨物ドライバーとして稼働する際は、強制加入の自賠責保険に加え、万が一の損害賠償に備えて下記の2つの保険への加入が推奨されています。
- 任意保険
- 貨物保険
任意保険
任意保険は自賠責保険ではカバーしきれない対人・対物賠償や車両保険を補償範囲に含みます。
軽貨物ドライバーは走行距離が長い分事故のリスクも高いため、事故の際の高額な賠償リスクを軽減する任意保険への加入は必要不可欠と言っても過言ではありません。
任意保険の種類と料金相場はこちら
貨物保険
貨物保険は、配送中の貨物が破損や盗難に遭った場合に、荷物の所有者に対して配送員が支払う損害賠償を補償する保険です。
軽貨物運送業では、高価な荷物を扱うことも珍しくありません。そのため、走行中や積み下ろし時に荷物が破損・紛失した場合の損害賠償リスクを事前に軽減することは非常に重要です。
年間保険料は20~50万円程度であり、事業を安定させるために必ず加入しましょう。
軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する
最後に、軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得しましょう。
運輸支局で交付された事業用自動車等連絡所と車検証のコピーを持参し、黄色ナンバーから黒ナンバーに変更します。
黒ナンバーを取得していない軽貨物車両で運送業務を営むことは法律上できません。
黒ナンバーの具体的な取得方法は、下記の記事をご覧ください。
軽貨物運送業の開業に必要な費用とその内訳
軽貨物運送業の開業に必要な費用と、その内訳を詳しくご紹介します。
- 軽貨物車両代
- 税金
- 車検費用
- 黒ナンバー交付費用
- 保険料
- 駐車場代
- ガソリン代
- 雑費
軽貨物車両代
メーカーやモデル、装備によって異なりますが、一般的な軽貨物車両の価格は新車の場合100~200万円です。中古車の場合は50万円程度から購入できます。
事業用の軽貨物車両は、リースやレンタルでも問題ありません。「初期費用を抑えたい」「長期的に事業が続くか不安」という方は、リースやレンタルの利用をおすすめします。
税金
軽貨物車両には、下記の3種類の税金がかかります。
- 軽自動車税(種別割)
- 軽自動車税(環境性能割)
- 自動車重量税
軽自動車税(種別割)
軽自動車税は、毎年4月1日時点の車両の所有者に納税が義務付けられます。
税額は車両の用途・種別などによって異なりますが、運送業に使用される軽貨物車両の場合、1,000~8,000円程が一般的です。
軽自動車税(環境性能割)
軽自動車税(環境性能割)は、環境に優しい車両を普及させるための税制措置で、車両の環境性能に応じて課される税金です。
燃費や排出ガス性能が良い車ほど税率が低くなりますが、事業用の場合、車両取得価格の0~2%の金額が課税されます。
自動車重量税
自動車重量税は、車両の重量や経過年数に応じて課される国税で、新車購入時や車検時に支払います。
車両重量・経過年数・車両区分ごとに税額が決まっており、軽貨物車両の場合、一般的に約6,000~9,000円かかります。
車検費用
車検は、事前に金額が決まっている法定費用と、実際に検査・整備する際にかかる基本料金に分かれます。
法定費用に含まれるのは、自賠責保険料・自動車重量税・検査手数料の3つです。検査手数料は、軽自動車の場合だと最大14,000円。
車検基本料は、車検を担当する業者によって料金が変動しますが、軽自動車の場合は、約1万5000円~3万円程度が相場だとされています。
黒ナンバー交付費用
軽貨物運送業を始めるには黒ナンバーの取得が欠かせません。
自分で取得手続きをする場合は、ナンバープレート代が2,000円程度かかります。業者に代行を依頼した場合は、数万円の手数料が発生します。
保険料
営業用車両の保険料は自家用車よりも高額になります。
自賠責保険は自家用車と変わらず1年で2万5,070円ですが、任意保険保険料は自家用車の2~3倍程度高くなります。
保険会社やプランによって異なりますが、毎月の保険料は1万円以上。年間で15~20万円程かかるのが一般的です
黒ナンバー車両の任意保険の料金はこちらをご覧ください
駐車場代
駐車場を自身で保有していない場合、軽貨物車両を保管するための駐車場代も必要です。
駐車場は、営業所・休憩所から2km以内に確保する必要があります。都市部では駐車場代が高額になることが多いため、月額費用を事前に確認し、複数の駐車場を比較するのがおすすめです。
ガソリン代
軽貨物運送業の開業において、ガソリン代は大きな割合を占める費用の1つです。
配送距離や頻度に応じて変動するため、正確な予算を立てることが難しい場合もあります。
燃費の良い車両を選ぶことでコストを削減したり、ガソリン価格の変動に備えて、毎月の平均燃料消費量を把握し、適切に予算を管理するしたりすることが重要です。
雑費
上記の費用の他に、台車や仕事着の購入費、業務に使用する携帯電話の通信料、高速道路の通行料金がかかります。
これらの雑費も予算に含め、予想外の出費に備えることが重要です。
軽貨物運送事業の個人事業主と法人の違い
- 手続きの手間
- 必要な費用
- 節税効果
- 借入のしやすさ
手続きの手間
個人事業主として軽貨物運送事業を始める場合、開業手続きは比較的簡単です。前述した通り、税務署への開業届や運輸支局への届出のみで開業できます。
一方、法人設立には定款作成や登記が必要で、司法書士や税理士のサポートが必要な場合もあります。運営中も、法人は定期的な決算報告や各種届出が求められ、個人事業主に比べて手続きが複雑で時間がかかることを留意しておきましょう。
必要な費用
個人事業主は、開業費用、ランニングコストともに低く抑えられるのが魅力です。
法人は、設立時に定款認証費用、登記費用、法人税の納付など、初期費用が高くなります。また、法人は社会保険への加入が義務付けられているため、法人設立時には十分な資金を確保しておくことが大切です。
節税効果
法人のほうが、節税の選択肢が多く、利益が一定以上になると節税効果が高まります。法人は役員報酬や経費の計上が柔軟にできるため、所得税や法人税の調整が可能です。
一方、個人事業主は累進課税により利益が増えると税率も上がりやすく、節税効果は限定的です。
ただし、個人事業主も青色申告をすることで、白色申告以上の給与控除額が受けられる場合があります。
借入のしやすさ
法人のほうが金融機関からの信用度が高く、借入がしやすい傾向が強いです。法人資本金や法人格が信用の裏付けとなり、事業計画書の提出などで資金調達の幅も広がります。
個人事業主は借入が難しい場合があり、自己資金での運営が求められる場合が多いです。高額な資金調達が必要な場合、法人化が有利と言えます。
軽貨物ドライバーが仕事を得る方法
軽貨物ドライバーとして独立した場合、継続的に仕事を得られなければ収入が途絶えてしまいます。ここでは、軽貨物ドライバーとして長期的・安定的に仕事を得る方法をご紹介します。
- 物流会社と業務委託契約を結ぶ
- 配送プラットフォームで直接仕事を選ぶ
物流会社と業務委託契約を結ぶ
軽貨物ドライバーが仕事を得る方法として、物流会社と業務委託契約を結ぶことが一般的です。
この方法では、物流会社がドライバーに継続的に仕事を提供するため、安定した収入を確保できることに加え、個人での営業活動の手間が省けるのがメリットです。
ただし、業務委託契約の場合、ガソリン代や車両代などの経費は自己負担になるケースが多いことに加え、登録料やロイヤリティを支払う必要があります。
契約前の面接などで、どの程度の費用がかかるのかしっかり確認した上で運送会社を選定しましょう。
配送プラットフォームで直接仕事を選ぶ
配送プラットフォームを利用してドライバー自身が直接仕事を選ぶこともできます。
スマートフォンのアプリやウェブサイトを通じて利用可能な配送案件を検索し、自分のスケジュールや希望に合った仕事を選択します。
自分のペースで仕事を選べる配送プラットフォームは、自由度が高く、アルバイトや副業にもおすすめです。様々な顧客と直接取引することで、経験を積むこともできます。
ただし、仕事の供給が不安定のため安定した収入が保証されない点がデメリットと言えます。複数の配送プラットフォームに登録したり、運送会社との業務委託契約をした上で利用するのがおすすめです。
軽貨物運送業の成功のコツ
最後に、軽貨物運送業の開業で成功する3つの秘訣をご紹介します。
- 車両費用を抑える
- 毎月の収支を管理・把握する
- 幅広い仕事をこなす
車両費用を抑える
初期費用で大きな割合を占める車両購入代を抑えることで、その後の運営に余裕を持つことができます。
新車購入ではなく、信頼できる中古車を取得したり、リースを活用したりしましょう。
事業をいつまで継続できるか未定の場合、軌道に乗るまではレンタカーを利用するのもおすすめです。
燃費の良い車を選択して運用コストを削減したり、定期的にメンテナンスを行って車両の修理費用を最小限に抑えたりすることも重要です。
毎月の収支を管理・把握する
毎月の収支を正確に把握することは、軽貨物運送業の成功に欠かせません。
収支と支出を管理することで、経営状況を把握できるのに加え、無駄な出費を抑えて必要な投資を見極められます。
ガソリン代や高速料金など、仕事で使用した経費を時間を空けずに帳簿に記入する習慣を身に付けましょう。
幅広い仕事をこなす
特定の業種や顧客に依存せず、多様な配送案件を受けることで安定した収入を確保し続けることができます。
運送会社との契約や、配送プラットフォームの活用など、多角的な仕事獲得方法を実践し、経営の安定性強化を図りましょう。
軽貨物ドライバーにおすすめの物流会社
軽貨物ドライバーとして独立を考えている方におすすめなのが、「ギオンデリバリーサービス」です。
ギオンデリバリーサービスは、全国にわたる広範な物流ネットワークを通じ、業務委託ドライバーに安定して案件を提供する物流会社です。
全国に35の拠点を構え、2,000人ものドライバーが稼働しています。ギオンデリバリーサービスが人気の理由は、「軽貨物ドライバーが安定的に働ける環境」です。
- 配送車両のリース
- 大手ECとのパートナシップ
- 最適ルートを提案する専用アプリ
- 充実のガイダンス制度
- 業務委託ドライバーの開業支援
上記のように、普通免許があれば始められる配送車両のリースや、長期的・安定的に仕事を提供できる大手とのパートナーシップ、軽貨物ドライバーの開業支援など、様々なサポート体制が整っています。
「独立しても軽貨物ドライバーとして安定した仕事を得たい」と考えている方は、ギオンデリバリーサービスをぜひチェックしてみてください。
業務委託契約で事業の安定化を図ろう
軽貨物ドライバーとして独立するメリットや成功の秘訣、軽貨物運送業の開業手順などをご紹介しました。
軽貨物ドライバーの個人事業主として開業する場合、手続きは比較的簡単で、開業資金も抑えられるのがメリット。しかし、開業後に継続的に仕事を得られる保証はありません。
運送会社と業務委託契約を結ぶことで、長期的・安定的に収入を確保することができます。「軽貨物ドライバーとして独立を考えている」「運送業未経験で不安」という方は、1つの選択肢として検討してみましょう。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。