企業に所属せず、個人で仕事を請け負う軽貨物ドライバーの手取りは、会社員の手取りとは計算方法が異なります。軽貨物ドライバーとして働く際には、手取りについて理解していないと、収支の管理が難しくなるため、しっかり確認しておかなければなりません。

この記事では、軽貨物ドライバーの手取りと、業務に必要な費用について解説しています。手取り額を上げるための方法もまとめているので、合わせてご覧ください。

軽貨物ドライバーの手取りは?

軽貨物ドライバーの手取りは約20万~50万円といわれていますが、契約条件や稼働時間によって大きく変わるため、実際には大きな個人差があります。

正社員として運送会社に勤務している場合は「基本給+賞与-控除額=手取り」ですが、個人で企業と契約するドライバーは報酬から控除額が差し引かれることはありません。報酬からさまざまな経費を差し引いた金額が手取り額になり、確定申告をして各種納税をする必要があります。

また、契約形態によってはロイヤリティが発生するので、固定報酬、あるいは売上に対してのパーセンテージで手数料を支払います。

軽貨物ドライバーの働き方

軽貨物ドライバーは、企業の社員として働くほか、個人事業主や法人を立ち上げるなどして、業務を行います。ここでは、軽貨物ドライバーに最も多い、個人事業主としての働き方を紹介します。

直接契約

企業または個人と直接契約すると、ロイヤリティや中間マージンが発生しないため、手取りを増やすことが可能です。人を介さずに荷主と商談ができるため、価格やサービス内容についてアピールしたり交渉したりできる点も大きなメリットだと言えます。

荷主から信用を得られれば長期的な契約につながることもあり、安定した収入が得られる可能性が高くなります。ただし、マッチングサービスや求人サイトの活用、直接営業などを行って契約に至る必要があるので、ある程度の労力が求められます。

業務委託・FC(フランチャイズ)

業務委託やフランチャイズの軽貨物ドライバーとして稼働する場合、手数料が発生する一方で、安定的に案件を得ることが可能です

業務委託では、通常複数の企業から依頼を受けることができますが、専属契約を結ぶ場合は自由度が低くなり、決められたスケジュールやルートで業務を行います。

FC展開している大手運送企業では、軽貨物車両のレンタルや事務処理サポートなど、手厚い支援体制が整っているケースがあり、配送業務に集中できるのがメリットです。

ギグワーク

専用アプリやオンラインプラットフォームを利用して、短期の案件を獲得します。スキマ時間を活用したり、自分の予定に合わせたりして業務が行えるため、自由度の高い働き方としてダブルワークに活用する人が多いのが特徴です。

ただし、基本的に単発の案件が多いため、長期的に安定した収入を得ることは難しいと言わざるを得ません。

軽貨物ドライバーの手取り=売上ではない

軽貨物ドライバーとして働くうえで、「手取り=売上ではない」と知っておくことは重要なポイントです。配送業務で得た報酬はそのまま手取り収入になると誤解しがちですが、実際にはさまざまな経費がかかるため、それらの金額によっては手取りが大きく減る可能性があります

収入と支出のバランスが悪ければ、どれだけ働いても手取りが増えないという事態になりかねません。そのため、売上全体を手取り収入と考えず、経費や税金を十分に考慮したうえで計画を立てることが重要です。

軽貨物ドライバー業務に必要な費用

軽貨物ドライバーが考慮しなければならない支出には、大きく「経費」「保険料」「税金」の3つが挙げられます。保険の内容は適切か、無駄な経費がないかなどを定期的に確認することが大切です。

経費

軽貨物ドライバーが経費として計上できる項目として、以下が挙げられます。

  • ガソリン代
  • 仲介手数料
  • 車検代
  • 駐車場代
  • 営業所賃料
  • 通信料 など

自宅を営業所として使用する場合には駐車場代が不要になるほか、電気代や通信費などを家事按分して適正な割合を経費とすることも可能です。委託手数料を削減するため直接契約できる荷主を探すといった工夫も、経費削減に有効でしょう。

初期費用を抑えるために中古車を活用するケースは多いものの、あまりに古い車両だと車検料やメンテナンス代などがかかるため注意が必要です。

保険料

軽貨物ドライバーが加入する保険は、一般的に次のようなものになります。

  • 自賠責保険
  • 任意保険
  • 火災保険
  • 運送業者貨物賠償責任保険
  • 健康保険 など

運転する時間が長くなれば事故に遭うリスクも高まるため、自賠責保険だけでなく任意保険にも加入しておくと安心です

個人事業主として働く軽貨物ドライバーの場合、事業用の車にかかる自動車保険はすべてが経費になる可能性が高く、営業所の火災保険料も一部またはすべてが経費計上できます。なお、国民健康保険や生命保険の保険料は経費にすることはできませんが、確定申告で所得控除することが可能です。

税金

軽貨物ドライバーは個人事業主として働くケースが多いため、確定申告をして以下の税金を納める必要があります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税 など

このほか、配送に欠かせない車両にかかる軽自動車税や、適格請求書発行事業者登録を行っている場合は消費税も納めなければなりません。青色申告や社会保険料控除を活用するといった方法で節税対策をすれば、手取り額を増やすことが可能です。

黒ナンバーを取得することで、軽自動車税が自家用乗用軽自動車の半額以下になる点も節税する上で押さえておきたいポイントの1つです。

参考:平成28年度から軽自動車税の税率が変わります|総務省

軽貨物ドライバーの手取りを増やす方法

軽貨物ドライバーとして手取り額を増やすためには、日々の業務の効率化や経費の見直しなどが重要になります。以下のようなポイントを定期的に確認するよう意識してみてください。

  • 効率よく配達する
  • 定期的に経費を見直す
  • 条件の良い荷主を探す

効率よく配達する

効率よく配達することは、軽貨物ドライバーの手取りを増やすための基本になります。配達エリアを事前に調査してルートを最適化することで、時間のロスや燃料費が削減できるでしょう。

荷物の積み込みも効率化するポイントになり、配置の工夫をすることで一度の停車で複数の荷物が配達できるようになります。時間帯によって交通量が異なるため、渋滞を避けてスムーズに移動できる時間帯やルートを考えるのも効果的です。

効率化の工夫を積み重ねることで、より多くの荷物が短時間で配達でき、手取りを増やすことに繋がります

定期的に経費を見直す

手取りを増やすためには、定期的に経費を見直すことが欠かせません。保険料や通信費などを見直し、最適なプランに変更することで固定費の節約が可能になります。車両維持費を抑えるために、定期的なメンテナンスや燃費の良い運転を心掛けることも大切です。

事務作業に使用しているツールの費用対効果や、委託手数料やプラットフォームの利用料が負担になっていないかなどを適宜確認してください。

条件の良い荷主を探す

荷主によって委託手数料やロイヤリティの金額が異なるため、現在のクライアントにこだわらず、より良い条件で契約できる荷主を探すことが大切です。定期的な配送依頼がある企業と契約することで、安定した収入を確保できるほか、高単価な荷物を扱う荷主を見つけることも効果的です。

マッチングサービスなどで評価の高い荷主を探し、丁寧に仕事をこなして信頼を得ましょう。信頼関係が構築できると、直接契約につながったり、別のクライアントを紹介してもらえたりすることもあります。

軽貨物ドライバーは手取りアップの工夫をしてみよう

軽貨物ドライバーは、多くの場合個人事業主として仕事を請け負うため、工夫次第で手取りを増やすことが可能です。収入と経費のバランスが崩れると、手取り額が増えず、生活や事業に悪影響を及ぼしかねません。

ランニングコストを見直して経費を削減するほか、条件の良い荷主を見つけるなど、手取りを増やせるような工夫をしてみましょう。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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