軽貨物ドライバーとして稼働する上で必須となるのが、使用する車両の黒ナンバー登録です。一般的な乗用車を黒ナンバーとして登録する際には、必要書類の提出や手数料の支払いといった手続きを済ませなければなりません。

また、軽貨物ドライバーとして長く稼働していると、事業が軌道に乗ってきたから車両を増やしたい、古くなった車両を新しくしたいといったケースも起こり得るでしょう。そういった場合には、増車や入れ替えなど黒ナンバーの新規取得とは異なる手続きが必要です。

今回のコラムでは、黒ナンバー車を新規で登録する方法や各種変更手続きについて詳しくまとめています。変更手続きを実施する際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

軽貨物ドライバーは黒ナンバーの取得が必須

冒頭でもお伝えしましたが、軽貨物運送業を営む上で黒ナンバーの取得は必須です。法人ではなく個人事業主として活動する軽貨物ドライバーであっても、黒ナンバーを取得せず自家用車を使って荷物の配送を行うと違法となり、罰せられる可能性があります。

自動車免許があれば誰でも簡単に始められる軽貨物ドライバーですが、事業を始める上で欠かせない黒ナンバー車の登録方法については、最低限押さえておけると良いでしょう。

黒ナンバーの取得要件・必要書類・費用

黒ナンバーを取得する際には、以下の要件を満たしていなければなりません。

  • 1台以上の軽貨物車がある
  • 営業車/休憩所/車庫がある
  • 運送約款を用意する
  • 運行管理能力がある
  • 損害賠償能力がある

また実際に取得する際には、以下の書類を用意して指定された機関に提出します。

<運輸支局へ提出>

  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  • 事業用自動車等連絡書
  • 貨物軽自動車運送事業運賃料金表
  • 運賃料金設定届出書
  • 車検証のコピー

<軽自動車検査協会へ提出>

  • 申請依頼書(自分で申請する場合は不要)
  • 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
  • 車検証(原本)
  • 黄色ナンバープレート(前後2枚)
  • 住民票

発生する費用は以下の通り。合計すると3,000円程度です。

  • ナンバープレートの取得費:約1,500円〜2,000円
  • 住民票・印鑑証明書の発行費:約500円
  • 車庫証明書の発行費:約500円

今回は簡潔にまとめましたが、黒ナンバーを新規で取得する流れは下記の記事でさらに詳しく解説しています。気になる方はぜひ合わせてチェックしてみてください。

黒ナンバーの各種変更手続きまとめ

ここからは、黒ナンバーの各種変更手続きについて詳しく解説していきます。

  • 増車・台数変更
  • 変更・入れ替え
  • 住所変更
  • 最大積載量の変更
  • 名義変更

増車・台数変更

事業を拡大させるために登録する黒ナンバーの台数を増やしたいといったケースでは、変更手続きを行わなければなりません。これは台数が減る場合も同様です。

必要となる書類は以下の通り。

  • 貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書
  • 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
  • 車検証のコピー
  • 車検証原本
  • 申請依頼書
  • 黄色ナンバープレート(前後2枚)

黒ナンバーを新規で登録する際に提出する貨物軽自動車運送事業運賃料金表は不要です。既存の黒ナンバー車と新たに登録する黒ナンバー車の名義が異なる場合は、住民票または法人謄本が必要になる旨を頭に入れておいてください。

黒ナンバー車の台数を増やしたい場合、手続きとは別に車庫の確保も必須です

軽貨物車1台を駐車するのに必要なスペースは約8㎡と言われています。既に届け出をしている車庫に追加で登録する車両を駐めるスペースが無い場合は、車庫として使用できるスペースを別途確保しなければなりません。

変更・入れ替え

黒ナンバー車として登録する車両を変更する場合、以下の書類を用意する必要があります。

  • 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
  • 車検証(新しく登録している車両・既に登録している車両のもの)
  • ナンバープレート計4枚(新しく登録している車両・既に登録している車両のもの)

増車と減車のタイミングが同日でない場合は、減車手続きを行った上で増車手続きを行わなければならず、手続きが煩雑になります。増車と減車はできる限り同日に行うのがおすすめです。

住所変更

現在使用している黒ナンバー車両の住所(本拠として登録している場所)を変更する場合の手続きです。車両を駐める車庫の位置や広さなどを変更する際にも同様の手順を踏みます。

  • 貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書
  • 事業用自動車等連絡書2部(運輸支局で押印されたもの)
  • 車検証のコピー

同じ都道府県内で住所を変更する場合は必要書類は上記のみですが、県をまたいで移転する場合は勝手が異なるため要注意です。現在の住所を管轄している運輸支局に廃業届を提出した後、移転先の住所を管轄する運輸支局に新しく開業届を提出しなければなりません。

移転先の住所を管轄する運輸支局によっては手続きの方法が異なる場合があるため、あらかじめ運輸支局に問い合わせておくとスムーズです。

最大積載量の変更

最大積載量とは、車両に積み込むことができる荷物の最大の重さのことを指します。

配送車の最大積載量を変更する際には、必ず構造等変更検査を受けなければなりません。必要書類は以下の通り。他の手続きに比べてかなり多岐に渡ります。

  • 印鑑(使用者のもの)
  • 車検証
  • 点検整備記録簿
  • 自賠責保険の証明書
  • 申請審査書
  • 手数料納付書
  • 自動車重量税納付書
  • 自動車検査証記入申請書
  • 軽自動車検査票
  • 軽自動車税申告書

最大積載量はドライバ―や周囲の安全を守る重要な基準であり、超過すると重大な事故に繋がりかねないため、法律で厳しく取り締まられています。変更するにあたり、厳しい検査や多くの書類が必要になるのもうなづけます。

名義変更

黒ナンバー車の名義を変更する際には、以下の書類が必要です。

  • 印鑑(新所有者・旧所有者のもの)
  • 車検証
  • 住民票あるいは印鑑証明書
  • ナンバープレート
  • 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式または軽専用第1号様式)
  • 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
  • 軽自動車税申告書

なお、新しい所有者が法人の場合には、住民票あるいは印鑑証明書の代わりに、登記事項証明書、商業登記謄本もしくは印鑑証明書を用意します。

【黒ナンバー】変更手続き時の注意点

ご紹介したような各種変更手続きを実施する際には、各種保険や法定点検の切り替えが必要になるかどうかを必ず確認するようにしてください。特に車両を新たに登録した場合には要注意です。

自賠責保険や任意保険に加入できていない、法定点検を受けていないといった不備があるまま運転することは避けてください。

車両が故障した際に高額な修理費用が発生する、事故を起こしてしまった際に損害を全て自身で負担しなければならなくなるといった可能性が考えられるためです。

黒ナンバーの変更手続きは抜け漏れなく

黒ナンバーの変更手続きは新規で登録する場合とは手順や必要書類が異なり、また追加で確認しておくべき項目も存在します。軽貨物ドライバーとして安心して稼働するためにも、本記事を参考に、抜け漏れなく正確に手続きを行えると良いでしょう。

※黒ナンバーの各種申請や変更に必要な書類やお手続きは、予告なく変更される場合がございます。ご質問等は管轄の運輸支局や軽自動車検査協会にお問い合わせください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。