決められた道順で決められた配送先に荷物を届けるルート配送。業務内容が単純であり「楽そう」という意見がある一方で、体力的な負担が大きいといった理由から「きつい」という声も散見されますが、実際はどうなのでしょうか。
今回のコラムでは、ルート配送の実情を詳しく紹介していきます。きついと言われる要因やルート配送が向いている方の特徴についても解説しますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
ルート配送とは?
ルート配送とは、毎日あるいは週に数回、あらかじめ決められた配送先に荷物を届ける案件のことです。定期的に補充が必要な品物を配送することが多く、主な配送先、荷物としては以下が挙げられます。
- 飲食店・ホテルへのおしぼりの配送
- 自動販売機へのドリンクの補充
- コンビニやスーパーへの商品の配送
- クリーニング店の巡回
- 医療機関への薬や医療機器の配送
ルート配送と混同しやすい案件の形態として、スポット配送が挙げられます。ルート配送は定期的に決まった配送先に荷物を届けるのに対し、スポット配送の案件では当日に発生した依頼の内容に応じて、様々な場所に荷物を運びます。
配送先や届ける荷物が毎回決まっているか、あるいは都度異なるかどうかが、ルート配送とスポット配送の最大の違いだと言えるでしょう。
【ルート配送】仕事の流れ
ルート配送ドライバ―の仕事の流れは以下の通り。一般的な宅配や企業配の案件とそれほど大きな差はありません。
- アルコールチェック・配送車の点検
- 荷物の積み込み
- 指定された場所・時間に荷物を配送
ただし、案件によっては早朝や深夜での稼働を余儀なくされる可能性もあることを頭に入れておきましょう。例えば、スーパーに生鮮食品を配送する場合、食材の鮮度を保ち、かつ営業開始時間までに搬入が完了するよう、早朝に稼働することが多いです。
ルート配送の魅力
ルート配送の魅力として、主に以下の2点が挙げられます。
- 業務内容が単純で覚えやすい
- 収入が安定しやすい
一般的な宅配の案件では、時間指定や再配達に対応したり、効率良く荷物を届けられるよう最適なルートを選択したりと常に臨機応変な対応が求められます。
一方、ルート配送は配送先や時間が決まっており業務内容がシンプルです。一度慣れてしまえば、業務をスムーズに進めやすいでしょう。
配送する荷物の量が決まっていることもあり、固定報酬制が採用されることが一般的。収入が安定しやすいのも大きな特徴の1つです。
ルート配送がきついと言われる理由
ここからは、ルート配送がきついと言われる要因をご紹介していきます。
- 早朝・夜間に稼働するケースもある
- 拘束時間が長くなることもある
- 常に時間に追われる
- 休みが取りづらい場合が多い
- 体力的な負担が大きい
- 毎日同じ仕事を繰り返さなければならない
- 営業活動が必要なこともある
早朝・夜間に稼働するケースもある
先程お伝えしたように、ルート配送の案件の中には早朝や深夜に荷物を届けるものも存在します。昼夜逆転の生活を送らなければならない可能性も十分考えられ、規則正しい生活を送ることは難しいでしょう。
ルート配送の求人の中には、稼働時間が明記されていないものや「配送先によって異なる」として稼働時間の例が複数記載されているものもあります。
思いがけず早朝や深夜の稼働を強いられるといったことがないよう、無理なく稼働できる時間帯を事前に伝えておくことをおすすめします。
拘束時間が長くなることもある
ルート配送の案件の大半では、ドライバ―1人につきかなり多くの配送先が割り振られます。「担当の荷物を運びきるまで帰れず、拘束時間が長くなる」というイメージを抱く方も少なくないでしょう。
確かに、人手不足により過剰に荷物を割り振られる、渋滞に巻き込まれるといったことが原因で残業が発生することもあります。しかし、一度道順や配送の流れを覚えてしまえばスムーズに荷物を配送できることから、意外と残業が少ないと感じる方も多いようです。
常に時間に追われる
ルート配送の案件で担当する荷物は、届ける時間帯が指定されているものがほとんどです。慣れないうちは常に時間に追われているような感覚で業務を進めなければならず、きついと感じる方も少なくありません。
時間内に配送しきるために休憩時間を削らなければならないケースも考えられ、体力的な負担が大きくなりやすい傾向にあります。
ただ、同じ作業を繰り返すだけなのがルート配送の魅力の1つです。回数を重ねて感覚を掴めてきたら、徐々に精神的な余裕を持って業務を進められるようになるでしょう。
休みが取りづらい場合が多い
ルート配送ドライバーの稼働スケジュールは、配送先の営業時間によって決まります。
担当する配送先によっては、カレンダー通りの休暇を取りづらい可能性も考えられます。コンビニやスーパーのように基本的に毎日営業している配送先を担当していると、お盆休みや年末年始に稼働しなければならないこともあるでしょう。
こうした傾向は、人手不足の運送会社でより顕著に見られます。希望した曜日を毎週固定で休みにできたり、柔軟にシフトを調整してもらえたりする企業もあるため、自身のライフスタイルに合った働き方ができる運送会社を選べると良いです。
体力的な負担が大きい
ルート配送の案件では、荷物の積み下ろしを手作業で行うことがほとんどです。自動販売機に補充する飲料やホームセンターで売られている堆肥などを配送する場合、10kgを超える荷物の運搬や積み下ろしを繰り返さなければなりません。
荷物の運搬に加え長時間の運転もこなす必要があることから、ルート配送は体力的な負担がかなり大きい仕事だと言えます。
毎日同じ仕事を繰り返さなければならない
宅配の案件では、毎回配送先や時間指定の有無が異なります。いかに効率の良い道順を選択できるか、時間指定に間に合わせるためにはどのような順番で荷物を配送するべきかなどを考えながら業務をこなすことが求められ、やりがいを見出しやすいです。
一方、ルート配送は日々同じ荷物を同じ配送先に届けるルーティーンワークです。新しい発見や工夫の余地が少なく、単調な仕事を苦に感じる方も少なくありません。
営業活動が必要なこともある
ルート配送の案件の中には、配送する商品の宣伝をする、よりたくさんの荷物を任せてもらえるよう企業に提案するといった営業活動を担わなければならないものもあります。
- 配送先のお客様から嫌悪感を抱かれてしまう
- 厳しいノルマが課される
- インセンティブが少なく割に合わない
上記のようなケースが多いことも、きつい仕事だという声が多く寄せられる一因だと言えるでしょう。
ルート配送は稼げる?年収は?
ルート配送の日給の目安は約13,000円〜15,000円。フルタイムでの稼働を想定すると月収は30万円前後、年収は360万円前後となります。決して割の良い仕事というわけではありませんが、安定した収入を得られるのは大きな魅力の1つです。
一方、宅配を中心に担当する軽貨物ドライバーは、配送する荷物の個数が多ければ多いほど収入が増える成果報酬型のもとで稼働することが一般的。つまり、「頑張れば頑張るほど稼げる」稼働形態です。
配送スキルを上げて高収入を狙いたいと考えるドライバ―にとっては、ルート配送は物足りなく感じてしまうかもしれません。
ルート配送の仕事が向いている方の特徴
ルート配送はきついと感じるポイントも多いものの、以下3つの特徴がある方には向いている仕事です。
- ルーティンワークが苦にならない
- 時間管理が得意である
- 運転が好きである
先述の通り、ルート配送は日々決まった配送先に決まった荷物を届けるルーティーンワークです。大きな変化のない業務を淡々とこなすのが得意な方に向いている仕事だと言えるでしょう。
企業が指定した時間に荷物を確実に届けられるよう自身のスケジュールを管理して時間を守る意識を持てる方や、長距離の運転が苦にならない方にもおすすめです。
ルート配送の案件に挑戦してみよう
配送先や届ける荷物、時間指定などが毎回決まっているルート配送は、覚えることが少なく楽に思えます。ただ、体力的な負担や同じ業務を淡々と繰り返す必要があることから、きついと感じる方も多いのが事実です。
自身の特性や希望する働き方を踏まえ、ルート配送に向いているかどうかを検討した上で挑戦してみることをおすすめします。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。