軽貨物ドライバーとして配送業務に従事する際に必須となる黒ナンバー車。入手する方法としては新車の購入やリースなどいくつか挙げられますが、「レンタカーを利用する」という選択肢が思い浮かぶ方もいるはずです。

レンタカーで軽貨物運送業を始めることはできるのか、違法ではないのかと疑問に思う方も多いかもしれませんが、レンタカーで配送業務にあたること自体は違法ではありません。ただし注意点も存在するため、あらかじめ把握しておく必要があります。

今回のコラムでは、レンタカーを使って軽貨物運送業を始める際の注意点を解説していきます。レンタルとリースの違いについても紹介しますので、黒ナンバー車をどのように確保しようか検討している方はぜひ参考にしてみてください。

軽貨物ドライバーには黒ナンバー車が必須

黒ナンバーは貨物運送を行う際に使用する軽自動車に取り付ける事業用ナンバーのことであり、軽貨物ドライバーとして稼働する際には取得が必須です。

ドライバー業の経験がない方が軽貨物ドライバーとして事業を始める場合、軽貨物車を新たに入手しなければならないことがほとんどでしょう。個人として活動する軽貨物ドライバーが配送車両を確保する方法について、この後詳しく解説していきます。

軽貨物ドライバ―が黒ナンバー車を入手する方法

軽貨物ドライバーが黒ナンバー車を入手する方法として、大きく以下の3つが挙げられます。

  • 購入
  • リース
  • レンタル

メーカーによって異なりますが、軽貨物車を購入しようと思うと新車であればおよそ150~200万円、中古車の場合は30〜50万円前後の費用がかかります。決して安くはない買い物ですが、初期費用を抑えたい場合はローンを組んで車両を購入することも可能です。

費用負担を分散させる方法としては、リースやレンタルも挙げられます。月々のリース料金は約2~4万円と比較的少額であり、また1ヶ月あたり数千円で車両をレンタルできる運送会社も存在します。

ただし、レンタル代やリース料金を長期間支払い続けていると、結果として新車を購入する場合の総コストを超えてしまうことも。軽貨物ドライバーとして長く活動することを見据えている方は、車両を購入する方がお得になるケースもあります

自身が希望する働き方に合わせて、最適な手段を選択するのが良いでしょう。

【黒ナンバー車】レンタルとリースの違い

初期費用をぐっと抑えられるレンタルとリース。レンタカー会社やリース会社から配送車を借りるという点は共通していますが、いくつか違いがあります。

  リース レンタル
車種の選択 基本的には車種を自由に選べる レンタル会社が所有する車種に限られる
契約期間 通常3~5年 1日~
支払い方法 月額払い 都度払い
所有者 リース会社 レンタル会社
使用者 契約者 レンタル会社
中途解約 不可

リース契約では原則として中途解約ができず、契約期間中に契約を解除すると違約金が発生するケースもあります。一方、レンタルの場合は契約期間内であれば中途解約が可能です。

ドライバー業の経験がなく長続きするかわからない、試しに案件を請けてみたいというように長期的な稼働を前提としていない方は、レンタルの方が向いていると言えるでしょう

レンタカーの黒ナンバー車で配送するのは違法?

結論から言うと、レンタカーの黒ナンバー車を軽貨物運送業に使用することは違法ではありません。

ただし、委託会社やマッチングサービスには登録できないケースがほとんどだという点に注意しなければなりません。前章の表にある通り、黒ナンバー車をレンタルする場合、車検証上の所有者や使用者はレンタル会社となるためです。

業務委託ドライバーとして稼働したい方は、レンタル以外の方法を利用するか、あるいは配送車の貸し出しを行ってくれる運送会社と契約を結ぶことをおすすめします。

【黒ナンバー車】レンタルとリースのメリット・デメリット

ここからは、レンタルとリースのメリット、デメリットを比較していきます。

レンタル

黒ナンバー車をレンタルする場合のメリット、デメリットはそれぞれ以下の通りです。

メリット デメリット
・短期間から契約できる
・中途解約ができる
・すぐに納車してくれるケースもある
・リースよりも割高な場合が多い
・委託会社・マッチングサービスに登録できない

レンタカーは長い目で見ると割高なケースが一般的ですが、初期費用を安く抑えて借りたり途中で解約したりでき、気軽に利用できる点が大きなメリットだと言えます。

中には数時間以内に納車してくれるレンタカー会社もあるため、業務中に手持ちの黒ナンバー車で故障や事故を起こしてしまった、といったケースにもおすすめです。

リース

一方、リース契約で黒ナンバー車を借りる際には以下のようなメリット、デメリットがあります。

メリット デメリット
・委託会社・マッチングサービスに登録できる
・長期的にはレンタルより割安である
・中途解約ができない
・審査に通らないと利用できない

運送会社と業務委託契約を結んだり、軽貨物のマッチングサービスを利用したりする方は、車検証上の所有者がドライバー自身となるリース契約を選択するべきです

ただ、軽貨物車のリース契約は誰でも利用できるというわけではなく、審査に通る必要があるという点に留意しておきましょう。

審査基準はリース会社によって異なりますが、共通する基準として「信用状態や債務状況に問題がなくリース料金を支払っていけること」が挙げられます。

黒ナンバー車のリース・レンタル会社を選ぶポイント

黒ナンバー車をリースやレンタルで確保しようと考えている方にぜひチェックしてほしい、リース、レンタル会社を選ぶ際のポイントを解説していきます。

  • 走行距離の制限があるか
  • 車検代・税金などが月々の料金に含まれているか

走行距離の制限があるか

仕事を請ける量や配送エリアなどによって異なりますが、軽貨物ドライバーの1ヶ月あたりの走行距離は約2,000〜5,000kmだと言われています。

黒ナンバー車を貸し出すリース会社の場合、月間約1,000〜2,000kmと走行距離に制限を設けていることが多く、長距離配送が多いドライバーだと超過してしまう可能性があります。

走行距離制限によって請けられる案件量が限られたり、制限を超過して追加料金を支払ったりするのは避けたいものです。走行距離制限を設けていないリース会社もあるため、事前に問い合わせてみることをおすすめします。

車検代・税金などが月々の料金に含まれているか

リース、レンタル会社の中には、以下のような配送車の維持費用が月々の料金に含まれているところもあります。

  • 車検費用
  • 自動車税
  • 保険料
  • 点検・修理費用

こうした費用をリース、レンタル料金としてまとめて支払うことができれば、全額を一気に経費計上して税負担を軽減できるほか、突然の故障や修理による急な出費を防げます。

月額料金の安さだけでリース、レンタル会社を選んでしまうと、サービスの質が低くメンテナンス費用や保険料などを自身で支払うことになり、結果的に負担がかさんでしまうことも。月々の料金とサービス内容の両方を事前に確認しておくことをおすすめします。

自身の働き方に合わせて配送車の入手方法を決めよう

レンタカーの黒ナンバー車で軽貨物の配送業務にあたることは可能です。中途解約もできるため試しに案件を請けてみたいという方におすすめですが、委託会社やマッチングサービスへの登録ができない点には留意しなければなりません。

短期的に見るとレンタルやリースの方が出費を抑えられますが、軽貨物ドライバーとして長く活躍することを見据えている場合は、車両を購入する方がお得なケースもあります。自身が希望する働き方に応じて、配送車を確保する方法を検討してみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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