軽貨物ドライバーに欠かせない黒ナンバー車。事業所でレンタルできるケースもありますが、多くの場合は有料であり、長い目で見ると自分で配送車を手配することがお得です。
しかし、黒ナンバーは一般的な自家用車と勝手が異なるため、どうすれば取得できるのかわからないという方も多いでしょう。
今回のコラムで黒ナンバーの取得方法について詳しく解説していくので、これから黒ナンバー車の購入や手配を予定している方はぜひご覧ください。
黒ナンバーってどういう意味?
文字通りですが、上図のように黒いナンバープレートのことを通称「黒ナンバー」といいます。軽貨物運送事業用の軽自動車に取り付けられるため、一般人が黒ナンバー車を運転する機会はほぼないでしょう。
そのため、「黒ナンバー」や「黒ナンバー車」は軽貨物ドライバーが運転するような軽バン、あるいは軽トラックを指すことが一般的です。
逆にいうと、黒ナンバーがないと軽貨物ドライバーは荷物を運ぶことができません。バイク便や自転車便は別として、いわゆる業務委託ドライバーになるためにはなくてはならないものになります。
黒ナンバーの取得方法・流れ
早速、黒ナンバーの取得方法を解説いたします。実際に取得するまでの流れは大きく以下の4つのステップに分けられます。
- 必要書類の準備
- 運輸支局に書類を提出
- 軽自動車検査協会に書類・黄色ナンバーを提出
- 黒ナンバーを取得
必要書類については次で詳しく解説していきますが、実は一連の流れはそう複雑ではありません。もちろん専門業者に代行してもらうという選択肢もありますが、初めて取得する方も十分自力で取得することが可能です。
ちなみに黄色ナンバーはもともとその軽自動車に付いているナンバープレートのことで、黒ナンバーを取得する際は黄色ナンバーと交換する形で発行してもらうことになります。
黒ナンバーの申請に必要な書類
まず、黒ナンバーを申請する際は運輸支局と軽自動車検査協会という2つの機関に書類を提出する必要があります。2つの機関といっても、立地的には基本隣り合っているので、1日あれば十分申請が可能です。
ただし、それぞれ申請書類が異なるので、事前にきちんと理解して、現場で混乱してしまわないように注意しましょう。
運輸支局に提出する書類
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 運賃料設定届出書
- 車検証(コピー可)
通常、運輸支局に提出する書類は上記の通りです。提出用とは別に、控えをもらえる書類もありますが、後々必要になる機会があるかもしれないので、確実に保管しておきましょう。
軽自動車検査協会に提出する書類
- 申請依頼書(自分で申請する場合は不要)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
- 車検証(原本)
- 黄色ナンバー(前後2枚)
- 住民票
次に軽自動車検査協会に提出する書類です。事業用自動車等連絡書は運輸支局で印をもらったものを提出するので、順番でいえば必ず運輸支局の後になります。
黒ナンバーの取得に必要な条件
次に黒ナンバーを取得する上で満たすべき条件を解説します。特にハードルが高いものはありませんが、いくつかあるので一つひとつ理解しておきましょう。
- 1台以上の軽貨物車がある
- 営業車/休憩所/車庫がある
- 運送約款
- 運行管理能力がある
- 損害賠償能力がある
1台以上の軽貨物車がある
1つ目の条件は1台以上の軽貨物車があるということです。車がなければナンバーの意味がないので当然といえば当然ですが、重要なのは軽貨物車という部分です。
具体的には軽バンや軽トラックが軽貨物車に該当しますが、逆にいえばそれ以外の車だと黒ナンバーを取得することができません。
対象となる車は車検証の上部に以下のような記載があるので、そこで見分けるようにしましょう。
- 自動車の種別:軽自動車
- 用途:貨物
営業所/休憩所/車庫がある
- 営業所
- 休憩所
- 車庫
車以外にも上記の施設が必要になります。車を持つ以上、車庫(駐車場)を用意しなければいけないのは当然のこととして、悩みがちなのは営業所と休憩所です。
しかし、個人事業主であれば自宅を営業所、および休憩所として登録することが可能なので心配はいりません。
運送約款
運送人(ドライバー)と荷主(荷物の送り主)での間で締結された契約内容をまとめたものを運送約款と呼び、こちらも黒ナンバーを取得する要件の1つです。
約款と聞くとそれだけで難しいように考えられるかもしれませんが、一般的には国土交通省が用意した文書を使用します。文面をゼロから作成しても問題はありませんが、以下のサイトに掲載されているものを使用しても差し支えないでしょう。
自動車:標準運送約款(国土交通省)
運行管理能力がある
次に運行管理能力があるということです。
わかりやすくいうと、正しく適切に配送業を務められるかを指導、監督する管理者が必要となるのですが、個人事業主の場合は自分自身を管理者として登録できます。
損害賠償能力がある
最後の要件は損害賠償能力があるということです。
万が一事故を起こしてしまった際、その損失を賠償する能力があることを示す必要があるのですが、自賠責保険と任意保険に加入していれば問題ありません。
黒ナンバーのメリット・デメリット
最後に黒ナンバーのメリットとデメリットを解説いたします。そもそも業務委託ドライバーとして活動するには黒ナンバーの取得が必須ではあるのですが、他のナンバー、あるいは車種と比較した際の特徴も知っておきましょう。
黒ナンバーのメリット
まずは黒ナンバーのメリットから触れていきます。
- 税金が安い
- 個人事業主でも取得できる
- 短期間で取得できる
税金が安い
1つ目は税金が安いということです。通常の黄色ナンバーとの差額は以下のようになっています。
自動車税(毎年) | 重量税(2年に1回) | |
---|---|---|
黒ナンバー | 3,800円 | 5,200円 |
黄色ナンバー | 5,000円 | 6,600絵m |
※13年落ち以内の車両に限ります。
ちなみに軽貨物車の場合、自動車税だけでなく、重量税も支払わなければいけません。
個人事業主でも取得できる
自分1人だけの個人事業主で取得できるのも黒ナンバーのメリットです。こちらは他の事業用車と比較した際のメリットですが、例えば緑ナンバーは5台以上のトラックが必要であり、とてもではありませんが個人事業主が所有するにはかなりハードルが高いです。
その点、前述の通り黒ナンバーは軽貨物車が1台以上あれば十分。このハードルの低さは黒ナンバーの大きな魅力だといえるでしょう、
短期間で取得できる
上述のように、黒ナンバーを取得するには複数の書類を用意し、いくつかのステップを踏む必要がありますが、事業用のナンバープレートとしては簡易的な部類になります。
書類の内容も1枚1枚はそこまで難しくなく、
- 書類の用意
- 運輸支局での手続き
- 軽自動車検査協会での手続き
などを全て合わせても数時間で完了します。
運輸支局や軽自動車検査協会は窓口が複数あり、初めて行く方はどこで手続きをすれば戸惑ってしまうかもしれませんが、スタッフに尋ねれば快く教えてくれるでしょう。
黒ナンバーのデメリット
次に黒ナンバーのデメリットについてですが、唯一挙げられるのは以下の項目です。
- 保険料が高い
保険料が高い
一般的なドライバーより運転する時間が長い業務委託ドライバーは自賠責保険だけでなく、任意保険にも加入しておくべきですが、事故を起こすリスクが高い分、保険料が高くなっています。
実際の保険料は一般的な車に比べて2〜3倍程度で、その上年齢や免許証の色による値引きもありません。高くなってしまうのは好ましくありませんが、万が一の保証のためにも仕方がないと割り切りましょう。
黒ナンバーで気軽にドライバーに!
必要書類や細かい条件など、黒ナンバーを取得するために必要な情報を細かく紹介しましたが、決して難しいことはありません。
このような手続きに不慣れな方であっても、取得に何日もかかるということはないでしょう。
早速黒ナンバーを取得して、軽貨物ドライバーとしてスタートしてみてください。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
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