長距離トラックドライバーとは異なり、特別な資格は不要で副業でも専業でも働き方を自分で選べるのが業務委託ドライバーの大きなメリット。EC市場の拡大と共に需要も伸び続けています。

個人事業主が業務委託ドライバーとして働くためには、依頼元の軽貨物委託会社と契約を行わなければいけません。しかし、いざ求人広告を見ても、「資格不要!」「頑張り次第で稼げる」など同じような文言が並んでいて、どう選べばいいのか分からないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

運送会社の中には、ドライバーが不利になるような業務委託契約を結ばせるような悪徳業者がいるのも残念ながら事実です。今回のコラムでは、優良な委託会社を選ぶポイントや注意点を解説していきます。

軽貨物委託会社を選ぶポイント

報酬やインセンティブ、初期契約時の登録料など、細かな制度は委託会社によって決定されています。そのため、慎重に委託会社を選ぶことが、金銭的負担、そしてゆくゆくは心身の負担を軽減してくれるのです。

気を付けておきたいポイントはいくつかありますが、まずは基本のポイントからご紹介しましょう。

  • 仕事の内容、配達案件
  • 料金体系、売上
  • サポート体制
  • 新人ドライバーへのガイダンス

仕事の内容、配達案件

一口に配達と言っても様々な種類があるのをご存じでしょうか。委託会社によって、取り扱いのある案件は異なるため、仕事内容や配達先のイメージはしっかり擦り合わせておくのが重要です。

  • 宅配便:個人宅に向けた配送
  • ルート便:主に企業への納品業務を担当
  • スポット便:依頼主の希望(日時・場所)に合わせて配送
  • チャーター便:依頼主の希望により貸し切り車両を使用して配送

例えばスポット便であれば、料金が高めに設定されていますが、不定期で依頼が入るので、安定した報酬を得られにくいという特徴があります。それぞれメリットデメリットもばらばらなので、自分の希望に合った案件があるかは、面談や説明会などでしっかり確認してください。

料金体系、売上

報酬に関する取り決めは、委託会社によって大きく異なるので注意が必要です。個数単価制(歩合制)の他にも、1日(週、月)当たり報酬〇円といった契約もあります。

募集広告にかかれた「●●万以上稼げる!」という謳い文句は魅力的ですが、実際には手取り金額ではなく売上金額を記入している事がほとんど。売上金額から、手数料や経費などを引いた金額が手元に残ります。加えて、ドライバーを始めた直後は、仕事に慣れていないため、その売上に届くのは難しいことは頭においておきましょう。

サポート体制

軽貨物ドライバーとして働くためには、委託会社と契約を締結します。会社によっては、ドライバーに対して独自のサポートを用意している会社もあるのでチェックしてみると良いでしょう。

例えば、以下のような制度を利用できる場合があります。

  • 深夜早朝インセンティブ
  • 専用配達アプリの提供
  • 車両リース
  • 任意保険加入

求人票で読み取れない情報は、面談時に確認してください。

新人ドライバーへのガイダンス

特に初めて軽貨物ドライバーにチャレンジするという方にチェックしてほしいのが、新人ドライバーへのガイダンス内容です。

スキル不要で始められる軽貨物ドライバーですが、始めてみると思っていたより苦戦したという方が多いのが事実。

  • 指定時間に合わせた配送ルートの組み立て
  • ルート、重さに合わせた荷物の積み込み
  • 伝票の取り扱い
  • 慣れない道の運転

配達ドライバーといっても業務内容は非常に多岐に渡り、効率よく稼ぐためにはコツが必要です。1人での配達が始まる前に、こうしたノウハウを教えてもらう機会があるとスムーズに業務を開始することができます

契約前に必ず確認を!面談時のチェックポイント

どんな求人にも言えることですが、求人票を見ただけでは全てを理解することはできません。契約前の面談などで以下の項目の確認を必ず行いましょう。

  • 運営会社の確認、実績確認
  • 手数料、その他必要な料金
  • 稼働時間
  • 担当業務エリア
  • 副業の可否
  • 休みに対しての対応

運営会社の確認、実績確認

EC市場の広がりと共に、物流業界に進出する会社が年々増加しています。まずは、インターネットで委託会社の実績を調べておきましょう。

求人を出している企業がグループ会社や子会社であることも多いため、親会社のホームページも確認しておくと◎。特に、運送業は【許認可】の取得が義務付けられています。どこにも許認可についての記載がない会社は警戒しても良いかもしれません。

仲介手数料、その他必要な料金

先述した通り、報酬や手数料の規定は、委託会社によってさまざまです。一般的には「10〜15%」程度に定めている場合が多いことを覚えておいてください。

手数料が高すぎるのも問題ですが、安すぎる会社にも注意してください。そもそもの配達単価が安かったり、諸経費が多くかかったりと結果的に損になってしまうことも起こり得ます。

その他にも車両のリース料金やメンテナンス費用など、プラスアルファでかかる費用についても確認を取りましょう。

稼働時間

運送業全体の問題としてあげられているのが、ドライバーの長時間稼働。一般的な宅配を思い浮かべても、配達指定時刻は午前中〜21時までとなっていることが多いです。このことから予想できるように長時間の拘束を求められることも多々あります。

エリアや時期によって異なりますが、平均的な稼働時間についても訪ねておきましょう。

担当業務エリア

自分が担当するであろう配達エリアについても確認しておくのもおすすめです。例えば、軽貨物ドライバー以外の仕事をしている場合、あまりにも生活エリアから外れていると、他の仕事に影響が出る場合もあるでしょう。

特に、スポット案件やチャーター便などはどうしても配達範囲が広くなります。その場合、諸経費(ガソリン代や高速料金)などの負担はどうするのかも合わせて確認しておけると良いでしょう。

副業の可否

委託会社によっては同業他社の副業を認めていない場合があるので注意が必要です。副業が禁止されている場合は、その企業との契約のみで目標とする金額を報酬として得られるのか事前にチェックしておく必要があります。

急な休みやトラブルへの対応

どれだけ気を付けていても、急な体調不良や事故、車両トラブルはつきもの。完全にゼロにすることは不可能です。

突発的な休みが発生したときの対応も必ずチェックしてください。事業規模が小さく、ドライバーが少ない会社だと、臨機応変に対応できないと返答されてしまう可能性があります。

契約前に確認!注意したい委託会社の特徴

最後に、面談ややり取りの中で以下のような項目があったら注意したい、という委託会社の特徴についてもお話していきましょう。

  • 連絡、返信が遅い
  • 面談時の対応
  • 契約書の有無
  • 口コミや評判

連絡、返信が遅い

問い合わせや質問に対しての、返信が異常に遅い会社には気を付けましょう。

  • 業務量が多すぎて対応が間に合っていない
  • ドライバーとのやりとりを疎かにしている
  • 対応できるスタッフがいない

などの問題を抱えていることがあります。具体的には営業日で3日以上かかる場合は注意してください。

面談時の対応

「報酬や条件が良ければ、人柄や会社の雰囲気は気にしない」という方が中にはいますが、あまりおすすめできません。ドライバーに対して横柄な態度を取るような会社は、理不尽な要求をしたり、支払いに対してルーズになったりすることもあるからです。

加えて、面談時には会社、事業所内の雰囲気もよく観察しておきましょう。事業所で働いている正社員の方に覇気がなく、どんよりした空気が蔓延している会社は、従業員やドライバーを大切にできていないのかもしれません。

面談においても、メリットだけではなくデメリットも含めてしっかり話してくれるような信頼のおける会社を選んでください。

契約書の有無

「個人事業主だから面倒なことは省きたい」という方もいますが、契約書を締結しないのはNG。契約書は、お互いの権利を守るために非常に重要な書面です。

どんな料金体系なのか、手数料はいくらかなのか、口頭だけの説明ではなくしっかり書面で残しておきましょう。

反対に契約書を用意しない委託会社は避けるのがベストです。

口コミや評判

もし、周りに軽貨物ドライバーや配達員をしている方がいれば、会社についての同業者からのイメージや実体験を聞いてみてください。

インターネットやSNSで会社名を調べてみると、リアルな口コミを発見できるケースも。

口コミは信憑性のある情報の1つ。ぜひ検索してみましょう。

軽貨物委託会社は慎重に選ぼう

車両と運転免許証があれば始められる軽貨物ドライバーは、独立・開業のしやすさが魅力の1つ。ただし、報酬などの契約内容でトラブルが起きていることも事実です。

一度契約を結んだあとに解約するのは非常に労力がかかります。始める前にしっかりと知識を付けて委託会社を選ぶことで、理想の働き方が手に入りやすくなるはずですよ。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。