配送業務を効率化することは、配送ドライバーにとって大きな課題の1つです。業務委託ドライバーのように配送した荷物の個数に応じて収入が変動する成果報酬制が採用されている場合は特に、配送個数を増やして収入アップを狙いたい方も多いでしょう。

今回のコラムでは、配送ドライバーにぜひチェックしてほしい、配送業務を効率化する方法について詳しく解説していきます。

配送を効率化することの重要性

配送ドライバーにとって、配送業務を効率化することは以下2つの理由から非常に重要です。

  • 業務時間を短縮できる
  • 成果報酬制だと収入アップを狙える

業務時間を短縮できる

雇用形態に関わらず、多くの配送ドライバーは1日に決められた、もしくは自分で決めた個数の荷物を配送します。配送業務を効率的に進められれば、その日のノルマを完了させるまでの時間を短縮させることが可能です。

配送にかかる時間が短くなれば、その分空いた時間を他のことに使えます。

正社員ドライバーであれば、時間に余裕を持って営業所に戻り、日報の記入や翌日の配送の準備をすることができます。アルバイトや業務委託のドライバーであれば、早めに帰路に就けるでしょう。

  • 悪天候や渋滞で車の流れが悪くなった
  • 受取人の不在が続き何度も再配達しなければならなくなった
  • 配送車にエンジントラブルが発生した

配送業務にあたっていると、上記のような要因で配送が遅れてしまうケースも考えられます。日頃から配送の効率化に取り組んでいれば、急なトラブルが発生しても余裕を持って対処でき、配送時間の遅れを最小限に抑えられるのもメリットだと言えます。

成果報酬制だと収入アップを狙える

配送ドライバーの中には、配送した荷物の個数に応じて収入が変動する成果報酬制で働いている方も多いのではないでしょうか。成果報酬制の場合、配送業務を効率化すれば同じ時間で配送する荷物の個数を増やせるため、収入アップを狙いやすくなります。

企業や依頼主によって異なりますが、配送した荷物1個あたりの単価はおよそ100円~200円と言われています。一見するとあまり大きな金額に感じられないかもしれませんが、少し配送スピードをアップさせるだけで収入はかなり変わってきます。

配送単価150円の完全成果報酬制で働く業務委託ドライバーを例に考えてみます。配送の効率化によって、荷物1個の配送にかかる時間を6分から4分に短縮できたとしましょう。すると同じ時間で配送できる荷物の個数は1.5倍に増え、収入も1.5倍にアップします。

1つの荷物を配送するのにかかる時間を2分縮めるだけでも、大幅な収入増加に繋げることができるのです。

配送スピードがなかなか上がらない要因

配送業務を効率化しようと取り組んではいるものの、なかなか難しいと感じる方も多いようです。ここからは、配送ドライバーの業務スピードが上がらない場合に考えられる要因を4つご紹介します。

  • 決まった渋滞で車の流れが遅れる
  • 配送エリアが広い
  • 時間指定が多い

決まった渋滞で車の流れが遅れる

渋滞に巻き込まれている間は移動も配送もできず、時間を大幅にロスしてしまうことになります。

突然の悪天候や事故による渋滞で配送が遅れてしまうことを防ぐのは難しいです。しかし、荷物を積み込む場所へ向かう道のような業務中にほぼ必ず通る道が慢性的に混雑している場合は、早急に改善策を検討することをおすすめします。

  • 配達や集荷の時間を調整して渋滞する時間帯を避ける
  • 車の流れがスムーズな裏道を探す
  • 配達順やルートを変更する

渋滞を避けるため、上記のような対策を講じてみてください。

距離が長く遠回りになってしまう道を避け、渋滞してでも近道を選んでいる方もいるでしょう。そういった方は、思い切って遠回りの道を通ってみるのも1つの手です。車の流れがスムーズであれば、渋滞する近道よりも早く目的地にたどり着けるかもしれません。

配送エリアが広い

配送エリアが広い程、配送先どうしの距離が長い場合が多いです。配送先間の移動に時間がかかれば、荷物を配送する時間は当然長くなります。

配送先同士の距離を縮めることはできないため移動時間を大幅に短縮することは難しいですが、より早く配送できるルートや順番がないか模索してみてください

配送エリアや道の混雑具合のような条件は、ドライバーの力ではコントロールできません。配送に不利な条件下で働いていると、同じ時間で配送できる荷物はどうしても少なくなってしまいます。

成果報酬制で仕事を請けている方にとって、調整しようがない条件によって収入が減少するのは避けたいものです。より効率良く配送しやすい環境で働くため、仕事を請けるエリアや委託元の変更も検討する方が良いかもしれません。

時間指定が多い

時間指定の荷物が多くある場合、配送の効率化よりも決められた時間内に配送することを優先しなければなりません。決められた時間に間に合わせることを第一に考えて配送していると、同じエリアに二度出向くといった手間が発生しやすくなります。

ただし、時間指定の荷物の量や時間は、当日の業務を開始するタイミングにしかわかりません。予期せぬ不在や再配達により、何度も同じ配達先に出向かなければならないケースも考えられます。

その時の状況に応じて、最適な配達順やルートを判断する臨機応変さが求められるでしょう。

ドライバーが実践したい配送の効率化術

ここからは、配送ドライバーにぜひ実践してほしい、配送業務を効率化させるコツを紹介していきます。

  • 配送業務に慣れる
  • 不在票を素早く書く
  • 荷物の積み方を工夫する
  • 配送ルートを最適化する
  • 駐車禁止エリアを把握しておく

配送業務に慣れる

配送ドライバーを始めたばかりの方は、まずは配送業務そのものに慣れるべきです。

配送ドライバーの業務はただ単に荷物を決まった場所に届けることだけではなく、以下のような細かな業務を伴います。

  • 不在だった場合に連絡したり不在票を記入したりする
  • 再配達の依頼に対応する
  • 宅配ボックスに荷物を入れる
  • 伝票を記入する

こうした業務を行う時に「次はどうするんだったんだろう」と頭で考えていては、いくら高度なテクニックを取り入れても思うように配送スピードが上がりません。

経験が浅い配送ドライバーにとっては、一連の業務を身体で覚えて自然にできるようになることが配送を効率化する1番の近道です。

不在票を素早く書く

宅配便の約10%以上が不在、再配達になると言われています。不在票を1日に何枚も記入しなければならないケースも決して珍しくありません。

大手の業者では、ドライバーの連絡先やお届け日時をシールで貼れる、再配達の依頼方法が始めから記載されているなど、不在票記入の手間を最低限に抑えているところもあります。

しかし、多くの場合は以下のような情報を手書きする必要があり、記入する不在票の枚数が多ければ多いほどタイムロスが発生してしまうでしょう。

  • 荷物の状況(宅配ボックスに入れた・持ち帰ったなど)
  • 荷物の分類(生もの・衣類など)
  • 伝票番号
  • お届け日時
  • ドライバーの名前・連絡先

自分の名前や連絡先は予め記載しておく、不在だと予測できる場合はインターホンを鳴らして応答を待つ間に不在票を記入するといった対策を取り入れてみてください。

荷物の積み方を工夫する

配送車になんとなく荷物を積み込んでしまうと、届ける荷物を積み下ろす際に手間取ってしまいます。探しても見つからない、奥の方にあったり上に別の荷物が乗っていたりしてなかなか取り出せないといったことが起こりやすいです。

目当ての荷物をすぐに取り出せるよう、以下のような工夫を実践することをおすすめします。

  • 先に配送する荷物は手前に・後で配送する荷物は奥に配置する
  • 荷台が空いている場合は荷物を手前に寄せる
  • 重い荷物は下に・軽い荷物は上にのせる
  • 荷台が空いてきたら配送順になるよう荷物を積み直す

荷物の積み方を工夫することは、積み下ろしを効率化するだけでなく、運転による衝撃から荷物を守るためにも大切です。荷物が破損してしまうとお客様からのクレームに繋がりかねないため、配送中に大きな衝撃が加わらないよう慎重に積み込むことが求められます。

  • 平積み:荷物をブロックのように並べて積み上げる(重みに強い)
  • ピンホール積み:荷物を風車のように縦横に組み合わせる(横向きの衝撃に強い)
  • レンガ積み:1段で縦横に向きを変えて積む(全ての荷物が外側から見える)

崩れないように段ボールを積み込む方法は、上記のように様々です。それぞれ異なる特徴を持つため、状況に応じて適切な積み方を取り入れてみてください。

配送ルートを最適化する

無駄のないルートを選択することも、配送業務を効率化する重要なポイントの1つです。具体的には、以下の4点を意識して配送ルートを検討できると良いでしょう。

  • 同じ場所に向かう回数を減らす
  • 渋滞しやすい道は避ける・通る時間帯をずらす
  • Googleマップやカーナビで時短ルートを見つける
  • 時間指定の荷物を優先しすぎない

とはいえ、4箇所の配送先を順番に回るだけでも配送ルートは24通り(4×3×2×1=24)存在します。時間指定の荷物や突然入ってくる再配達なども考慮しなければならないことを考えると、最も効率良く配送できるルートを自力で探すのは至難の業だと言えます。

昨今広まりつつある、配送ルート作成アプリの力を借りるのも1つの手です。配送ルート作成アプリはAIの組み合わせ最適化という技術を応用して、ドライバーが「どういう順番で」「どの経路で」配送するのが最も効率的かを自動で判断してくれます。

配送ルート作成アプリの仕様はどんどん進化しています。中には、時間指定に間に合わせる、配送車が通れる幅の道だけを通るといった高度な条件を踏まえてルートを提案してくれるものもあるようです。

無料で使えるアプリも多く導入のハードルは低いので、ぜひ検討してみてください。

駐車禁止エリアを把握しておく

配送車を停める場所を決めるのに手間取ってしまうことも、配送業務におけるタイムロスの要因として挙げられます。停車できそうな場所を見つけたものの実際は駐車禁止エリアだった、という流れを繰り返していてはもったいないです。

予め配送地域の駐車禁止エリアを把握しておけば、スムーズに駐車する場所を探すことができるでしょう。

なお、急いで配送したいからといって、駐車禁止エリアに配送車を停めるのはおすすめできません。万が一取り締まられてしまうと罰金や違反点数が発生し、せっかく稼いだお金が無駄になってしまう可能性があるためです。

配送業務を効率化して収入アップを目指そう

今回ご紹介したポイントを取り入れても、1つの荷物を配送する時間は数十秒〜数分程度しか短縮できないでしょう。しかし、ちょっとした取り組みを積み重ねていけば、1日の配送業務にかかる時間を大幅に短くすることが可能です。

アルバイトや業務委託のドライバーは特に、荷物を1つ配送するのにかかる時間は収入に大きく影響してきます。今回ご紹介したポイントを取り入れてスムーズな配送を実現させ、決まった時間で運べる荷物の個数を増やして収入アップを目指してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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