かつて配送ドライバーは男性の仕事というイメージが強く根付いていました。しかし、運送業界や国による取り組みもあり、女性の配送ドライバーも少しずつ増えてきています。
今回のコラムでは、運送業界における女性ドライバーの現状を紹介するとともに、女性が配送ドライバーとして働く上でのメリットやデメリットを詳しく解説していきます。
目次
運送業界における女性の現状
配送ドライバーは男性の仕事というイメージが強かった以前とは異なり、女性が配送ドライバーとして活躍するケースも珍しくなくなってきました。この背景にあるのは主に以下の2点です。
- 労働環境を改善する動き
- トラガール推進プロジェクト
男性の職業というイメージを改善すべく、運送業界では女性ドライバーが快適に働けるよう労働環境を改善する以下のような取り組みが積極的に実施されています。
- 女性専用のトイレの設置
- 化粧用鏡がついた更衣室の設置
- 託児所の設置
- 育児休暇・時短勤務といった制度の確立
女性ドライバーを支援しているのは、運送業界の企業だけではありません。国土交通省はトラガール推進プロジェクトを打ち出し、2014年9月に専用のWebサイトを開設しました。
ドライバーを目指す女性に向けて、ドライバーとして活躍する方法や実際に女性ドライバーが働く様子を発信。ドライバーを採用する企業に対しても、女性の活躍を推進するメリットや、今後取り組むべき施策を伝えています。
こうした取り組みが進んでいるとはいえ、他の業界に比べると女性労働者の受け入れはかなり遅れているのが現状です。ご紹介したような女性ドライバーを支援する取り組みも、まだ発展途上だと言えます。
業界に関わらず女性の社会進出を後押しする動きが進んでいる今、女性ドライバーの積極的な採用や労働環境の改善も、より多くの企業に広く浸透していくと予想されます。
配送ドライバーを目指す女性におすすめの職種
配送ドライバーを目指す女性に特におすすめしたい職種として、以下の2つが挙げられます。
- ルート配送
- Amazonフレックス
予め決められた企業や店舗に特定の日時と道順で荷物を届けるルート配送は、決まった時間だけ稼働することが一般的であるため、子育てや家事と両立しやすいです。道順さえ覚えてしまえばすぐに慣れることができるのも嬉しいポイントだと言えます。
Amazonフレックスとは、Amazonと業務委託契約を結んで荷物を配送する仕事のことを指し、専用のアプリからの通知を元に仕事を獲得します。
- フルタイムでしっかり稼ぎたい
- 家事や育児と両立させたい
- 隙間時間に単発で仕事を請けたい
Amazonフレックスのような業務委託ドライバーは自分で仕事量をコントロールできるため、上記のように自由に働き方を選択することができる点が魅力です。
女性配送ドライバーのメリット
女性が配送ドライバーとして働くメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ライフスタイルに合わせて働き方を選べる
- 他のドライバーとの差別化を図れる
ライフスタイルに合わせて働き方を選べる
一口に配送ドライバーと言っても、運転する車両や配送する時間帯、荷物の重量、配送距離などは様々です。こうした配送条件が違えば、勤務スタイルも大きく変わってきます。
大型トラックで長距離を運転して荷物を運ぶドライバーは、数日帰宅せず運転し続けることも少なくありません。軽貨物車両で限られたエリア内の配送先を回るドライバーであれば、夕方まで勤務する、単発で仕事を請けるなど、無理のない働き方を取り入れられます。
時短勤務を取り入れる、社内に託児所を整備するなど、女性がライフスタイルに合わせて働き方を選べるよう取り組む企業も増えてきています。結婚や出産といったライフステージの変化を経て働き続けたいと考える女性ドライバーにとって追い風だと言えるでしょう。
他のドライバーとの差別化を図れる
配送ドライバーがお客様に荷物を渡すのは一瞬の出来事であり、コミュニケーションを取る機会も限られています。しかし、そういった中でも、お客様はドライバーの態度や身だしなみといった細かなポイントを意外としっかり観察しています。
一概には言えませんが、女性ドライバーの清潔感のある身だしなみや丁寧なコミュニケーションに価値を感じるお客様も増えています。割れ物や精密機器のような取り扱いに注意が必要な荷物を丁寧に、繊細に取り扱ってくれる点も評価されるケースが多いです。
女性ならではの細かな気遣いや配慮は、他のドライバーとの差別化を図る上で絶好のアピールポイントとなってくれるでしょう。
女性配送ドライバーのデメリット
女性の配送ドライバーとして働く上では、以下のようなデメリットがある点に留意しておくべきです。
- 珍しがられる
- 体力的にきついと感じることもある
- 女性が働きづらい職場もある
珍しがられる
以前に比べて女性ドライバーの数は大幅に増加しましたが、依然として「配送ドライバー=男性」というイメージを持つ方も少なからずいらっしゃいます。
女性というだけでお客様に傲慢な態度を取られたり、周囲の方に必要以上に心配されたり、心無い言葉をかけられたりすることもあるようです。
体力的にきついと感じることもある
ルート配送や軽貨物ドライバーのような運転する距離が比較的短い、あるいは配送する荷物が軽量の職種を選べば、体力的な負担はある程度抑えられます。しかし、人によっては業務がきついと感じられることも。
例えば、女性ドライバーは力のある男性に比べて一度に運べる荷物の量が少ない傾向にあります。マンションのような施設に複数の荷物を届ける際、一気に荷物を積み下ろして持っていくことが難しく、配送車と配送先を何度も往復しなければなりません。
エレベーターのない建物で階段を上って荷物を届けるうちに、息が上がってしまうこともあるでしょう。
性別に関係なく活躍できる職種であるとはいえ、配送ドライバーは体力勝負の仕事です。体力に自信のない女性にはあまり向かないかもしれません。
女性が働きづらい職場もある
お伝えしているように、運送業界全体で女性が働きやすいよう労働環境や待遇の改善が進んでいます。しかし、依然として女性を受け入れる体制が整っていない企業が多いのも事実です。
更衣室がない、トイレが男女分けられていないなど、男性ドライバーが問題なく勤務できても、女性にとっては不便に感じられてしまうケースも少なくありません。
女性ドライバーに対する理解が十分でない職場もあるでしょう。時短勤務や急な早退をすると白い目で見られたり、応募時に本当にしっかり仕事をこなせるのかと疑いの目を向けられたりする可能性も考えられます。
女性ドライバーが職場を選ぶポイント
ここからは、女性ドライバーが職場を選ぶ際に注目すべきポイントを紹介します。
- 女性が働きやすい待遇が整っている
- 女性に配慮した労働環境が整備されている
- 現在勤務している女性の割合が高い
出産や育児を経て働き続けることを検討している方は、育児休暇や時短勤務、急な早退といった働き方に理解がある職場かどうかを事前に確認するべきです。
お伝えしているように、他の業界では当たり前に整備されている女性用の清潔なトイレや化粧スペース、更衣室、分煙への配慮などが整備されていない可能性があります。女性が快適に働ける環境が整っているかも、面接時に確かめておきましょう。
とはいえ、女性ドライバーに対する周囲の反応や労働環境の実情は、働いてみなければわからないという側面が強いです。
実際に勤務してみたら働きづらい職場だったというリスクを避けられるよう、既に勤務している女性が多い職場を選ぶことをおすすめします。女性が多く働き続けている企業は、女性が働きやすさを感じている可能性が高いと考えられるためです。
女性も配送ドライバーとして活躍できる
配送ドライバーを目指す女性にとっての不安要素として、労働環境や働き方、周囲の反応など様々なポイントが挙げられます。実際、運送業界では他の業界よりも女性が働きやすい環境作りがあまり進んでいないのが現状です。
しかし、業界に関わらず働く女性が増えている今、運送業界でも女性ドライバーを受け入れるための取り組みが少しずつ進んでいます。今回ご紹介したポイントを押さえて職場を選び、女性ドライバーとして活躍してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
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