配送ドライバーとして日々勤務していると、何度も再配達を依頼されたり悪天候による通行止めや渋滞に巻き込まれたりと予期せぬ事態がつきものです。数あるトラブルの中でも特に配送への影響が大きいものとして、ガス欠が挙げられます。
特に業務委託として個人で仕事を請けるドライバーは突然のガス欠にどう対応すべきか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、配送ドライバーが突然ガス欠になってしまった際に取るべき対応や、ガス欠を予防するための対策について詳しく解説していきます。
目次
配送ドライバーはエンジントラブルに要注意
配送中にエンジントラブルが生じてトラックが動かなくなってしまうと、配送が困難になり、荷物を待っているお客様に大きな迷惑をかけてしまう恐れがあります。配送が遅れた分の遅延損害金の支払いを求められたりすることも考えられるでしょう。
特に業務委託として働いている場合は委託元の信頼を失ってしまい、契約を解約されるケースも。お金を稼ぐために働いているはずが、大きな金銭的損失を被ってしまうかもしれません。
配送中に起こり得るエンジントラブルについて事前に把握して適切な予防策を講じるとともに、万が一の事態が起こっても迅速に正しい対応ができるようにしておきましょう。
配送車のエンジンがかからなくなる原因とは
突然配送車のエンジンがかからなくなった際に考えられる要因として、主に以下の4つが挙げられます。
- バッテリー上がり
- 発電機の故障
- セル・スターターの故障
- ガス欠
発電機やセル・スターターの故障は、ドライバーの力では防ぎようのないケースがほとんど。しかし、バッテリー上がりやガス欠に関しては、ドライバーが日頃から注意することで防げる場合が多いです。
- ヘッドライトや室内灯を消し忘れたまま配送車を長時間放置する
- 停止状態でエアコンを使いすぎる
- しばらくエンジンをかけていなかった
例えば、バッテリー上がりは上記のような原因で起こります。トラックを離れる時に電気がついていないか指差し確認する、エアコンをつけたまま社内で休憩しないといった対策により発生リスクを抑えることが可能です。
また、しばらくエンジンをかけていない期間が続いてしまうのもバッテリーが上がってしまうよくある原因です。一度バッテリーを上げてしまうと、再び可動させるのに手間がかかるだけでなく、バッテリーの寿命も縮めてしまいます。
今回は配送ドライバーにとって避けたいトラブルの1つであるガス欠に注目して、対処法や防ぐ術を詳しく解説していきます。
配送ドライバーがガス欠時にすべきこと
万が一配送中にガス欠になってしまったら、以下のように対応することが求められます。
- 自分と周囲の安全を確保する
- 必要に応じて緊急連絡先に連絡する
- 配達先に遅れる旨を連絡する
- 配送スケジュールを調整する
自分と周囲の安全を確保する
車を動かしてガソリンスタンドで給油できれば問題ありませんが、路上で車が動かなくなってしまった、近くにガソリンスタンドがないといったケースも考えられます。そういった場合は、まず自身と周囲の安全を確保しましょう。
ハザードランプを点灯して車を路肩や非常駐車帯に停めます。可能であれば、三角表示板などの停止表示器材を設置して、走行できなくなったことを後続の車に伝えてください。
なお、車が動かなくなりそうだからといって、慌てて急ブレーキをかけるのは避けましょう。後続車に追突される恐れがあり大変危険です。
必要に応じて緊急連絡先に連絡する
知人に連絡したり、最寄りのガソリンスタンドに連絡したりしてガソリンを届けてもらえるのが理想です。そういった対応が難しい場合は、JAFや保険会社に連絡してください。
JAFは入会するとロードサービスを受けられる機関ですが、入会していないドライバーも利用することができます。ただし、非会員の場合は多くのサービスが有料であったり、混雑時には会員の依頼を優先されたりといったデメリットがある点に留意しておきましょう。
ガス欠になった配送車ですぐに配送を再開することが難しそうな場合は、代車手配サービスに連絡しておくべきです。
突然連絡してもすぐに貸し出してくれる、黒ナンバーの車両を取り扱っている業者を予めピックアップしておくと良いでしょう。スムーズに代車を手配でき、素早く配送を再開できます。
配達先に遅れる旨を連絡する
ガス欠により配送できない時間が長引くと、荷物を決められた時間内に届けることが難しくなります。なんの連絡もなしにいつまで経っても荷物が届かないとなると、受取人は不安になってしまうでしょう。
委託元にクレームが入れば注意を受ける可能性があるだけでなく、契約を解約されるケースも考えられます。
お客様に連絡して時間内に配送することが難しくなった旨やその原因を正直に伝え、誠意を持って謝罪してください。この時、お客様から「あとどれくらいで荷物が届くか」といった配送時間に関する具体的な質問に対して、はっきりと回答するのはおすすめできません。
トラックの修理や代車の手配などがスムーズに進まず配送時間がさらに遅れてしまう可能性があるためです。お客様に余計に迷惑をかけてしまうだけでなく、信用を失いかねません。
配送スケジュールを調整する
企業に直接雇用される正社員やアルバイトのドライバーとは異なり、業務委託ドライバーは個人で仕事を請ける以上、応援を要請することは基本的にできません。トラブルによって配送時間が押してしまうと、その後の配送全てに影響が生じます。
そのため、まだ配送すべき荷物が多数残っている場合は、配送スケジュールを調整し直す必要があります。各所に連絡して配送が遅れる旨を謝罪し、再度調整した配送スケジュールを伝えてください。
高速道路でガス欠になると危険
配送エリアが広く高速道路を利用するドライバーの場合、高速道路上でガス欠が発生してしまう可能性もゼロではありません。
高速道路上でガス欠になると、一般道路とは異なり法規制の対象となります。高速自動車国道等運転者遵守事項違反とみなされ、反則金の支払いと違反点数が科されます。
というのも、高速道路で運転不能となり停車することは、二次的に事故を引き起こすリスクが高いためです。実際、ガス欠により高速道路上で停車していた大型トラックに後続車が追突することによる死亡事故も発生しています。
高速道路で一気に長距離を運転すると激しく燃料を消費するため、ガス欠が発生しやすいです。ガス欠で停車して自身や周囲の人の安全を脅かさないよう、事前にたっぷり給油しておくといった対策を怠らず実施してください。
ディーゼル車でガス欠になると大変
環境への配慮からガソリン車や電動トラックが年々広まっているものの、事業用配送車としてディーゼル車を利用している方もいるでしょう。
既にご存じの方も多いかもしれませんが、ディーゼル車がガス欠になってしまうと、給油するだけではエンジンを再びかけることはできません。ディーゼル車でガス欠が発生すると燃料ラインに空気が入ってしまい、燃料をエンジンまで送れなくなるためです。
ガス欠になったディーゼル車を再び走らせるためには、基本的にエア抜きが必要となります。エア抜きは手動で実施しなければならないことがほとんどであり、ガソリン車のガス欠に対処する場合に比べて相当負荷が大きいです。
配送ドライバーがガス欠を防ぐ方法
配送ドライバーがガス欠を未然に防ぐ方法として、以下の2点が挙げられます。
- ガソリンメーターをこまめに確認する
- ガス欠の前兆に気付いたらすぐに対処する
基本的なことではありますが、ガソリンメーターをこまめに確認する習慣をつけてガソリンが足りなくなるのを未然に防ぐことが、ガス欠を防ぐ最も有効な方法です。
なお、予期せぬ渋滞に巻き込まれる、近くにガソリンスタンドがないといった事態も考えられるため、燃料残量警告灯が点いてから給油していては遅いです。あらゆるケースに備え、余裕を持ってこまめに給油することを心がけてください。
- 加速しづらくなる
- エンストを起こす
- エンジン・マフラーから異音がする
- 車体が前後に揺れる
ガス欠が起こりそうな時には、上記のような兆候が見られます。こうした現象が見られたら近くのガソリンスタンドを探す、安全に停車できる場所を見つけるなど、早急に対応を行ってください。
油断せずこまめに給油してガス欠を防止しよう
配送車が突然ガス欠すると、配送が大幅に遅延してお客様に迷惑をかけてしまうだけでなく、委託元からの信用を失う可能性が高いです。特に、業務委託ドライバーの場合は配送車の修理やその後の配送も自分で対処しなければならず、どうしても負担が大きくなります。
少しくらい給油しなくてもいいだろう、という小さな油断が大きなトラブルに繋がってしまうこともあるでしょう。余裕を持ってこまめに給油する習慣をつけ、安全な配送を心がけてください。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
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