業務委託ドライバーは稼働スケジュールを個人の裁量で決められるため、自身のライフスタイルに応じて多様な働き方を選択できることが大きな魅力の1つです。
その反面、福利厚生を利用できないため、急に仕事を休む場合には正社員のドライバ―とは異なる対応が求められます。
今回のコラムでは、業務委託ドライバーの休みに関するルールを解説していきます。業務委託ドライバーが休みたい時に休める環境を整えておくために注意しておきたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
業務委託ドライバーのメリット
業務委託ドライバーのメリットとして、主に以下の3点が挙げられます。
- 経験がなくても始めやすい
- 頑張った分だけ稼げる
- ライフスタイルに合わせて働き方を調整できる
経験がなくても始めやすい
業務委託ドライバーは普通自動車免許があればすぐにでも活躍できます。特別なスキルや資格を必要としないため、経験がなくても気軽に始められる点が大きなメリットだと言えるでしょう。
年齢や性別による制限もないことから、男女問わず幅広い年齢層の方に人気が高まっています。実際、業務委託ドライバーを募集する求人情報を見ると、「20~70代活躍中」「女性歓迎」といった文言が目立ちます。
頑張った分だけ稼げる
正社員やアルバイトとして活躍する配送ドライバーの多くは、毎月決まった金額を支払う固定報酬制の元で従事しています。一方、業務委託ドライバーと契約を結ぶ委託元は、配送した荷物の個数に応じて報酬が支払われる成果報酬制を採用していることが一般的です。
従って、稼働時間を伸ばしたり配送スピードを上げたりすれば、より効率良く稼いで収入アップを目指すことが可能。頑張りが給料に反映されやすいことは大きなやりがいや業務に対するモチベーションに繋がります。
ライフスタイルに合わせて働き方を調整できる
勤務日程がある程度決められている、あるいはシフト制で働く正社員やアルバイトとは異なり、業務委託ドライバーは稼働スケジュールを自由に決められます。
そのため、フルタイムでがっつり稼ぐ、本業や育児などの傍ら隙間時間で従事するなど、自身のライフスタイルに合わせて働き方を調整することが可能です。委託元によっては以下のような裁量の大きい働き方ができることも。
- 本業が落ち着く数ヶ月間だけ請ける仕事量を増やす
- 子どもを保育園に預けられるまでは仕事量を減らす
ただし、稼働スケジュールの自由度が高い業務委託ドライバーは、案件量を決める際に自身の体調との相談が必要な点に留意しなければなりません。稼働時間の上限がなく、その気になればどれだけでも仕事を請けられてしまうためです。
稼ぎたいからと言って仕事を請け過ぎると、疲労が溜まって集中力が続かず、交通事故のリスクが高まってしまいます。稼働時間だけでなく、体調についても自身の責任で管理するようにしてください。
業務委託ドライバーのデメリット
業務委託ドライバーには以下のようなデメリットがある点にも留意しておかなければなりません。
- 安定して仕事を請けられない可能性がある
- 福利厚生がない
安定して仕事を請けられない可能性がある
EC事業の拡大や慢性的な配送ドライバー不足により、業務委託ドライバ―の需要は昨今急速に高まっています。しかし、業務委託ドライバーに割り振れる案件の量は、運送会社によって異なります。
契約しているドライバーに対して案件数が少ない運送会社の場合、ドライバ―同士で仕事を取り合うことになり、思うように仕事を請けられないケースも考えられます。
業務委託ドライバーを本業としている方は特に、仕事量が安定せず生活に支障が出てしまうリスクがあることを頭に入れておかなければなりません。
福利厚生がない
- 労災保険
- 雇用保険
- 産休・育休制度
- 傷病手当金
個人事業主として運送会社と契約を結ぶ業務委託ドライバーは、正社員とは異なり上記のような福利厚生を利用することができません。そのため、以下のようなケースが発生すると業務委託ドライバ―としての収入は途絶えてしまいます。
- 突然契約を打ち切られる
- 急な忌引や体調不良で仕事を休まざるを得なくなる
- 大きなけがや病気で長期間働けなくなる
働けなくなった際に金銭面で困らないよう、業務委託ドライバーが突然休まなければならないケースに関するルールや対応について知っておくことが重要です。この後詳しく解説していきます。
業務委託ドライバーの休み・稼働時間のルール
業務委託ドライバーは稼働スケジュールを自身で決定することができ、休みや稼働時間に関する特定のルールはありません。
一方、社員ドライバーには、厚生労働省が示す「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」が適用されます。この基準には労働時間や休憩時間に関するルールが含まれていますが、業務委託ドライバーにはこのようなルールが適用されないため、自由に稼働時間を決めることができます。
しかし、業務委託ドライバーも過度な働き過ぎは事故のリスクを大きく引き上げることを理解する必要があります。そのため、ドライバー自身で稼働時間や休憩時間をしっかりと管理し、安全な運送を徹底することが重要です。
例えば、連続で運転する時間を一定時間以内に制限する、定期的な休憩を取るなどの自己管理が必要です。自身の健康と安全を守るために、適切な休息を取りながら効率的に稼働することを心がけましょう。
業務委託ドライバーは急に休める?
日頃どれだけ体調管理に配慮していても、感染症や家庭の事情などでどうしても休まざるを得なくなる機会は存在します。業務委託ドライバーが休まざるを得なくなった場合の対応について、ケース別に解説していきます。
- 忌引・体調不良の場合
- 大きなケガ・病気の場合
忌引・体調不良の場合
忌引や体調不良によって1日~数日休みたいというケースでは、基本的には本来請け負うはずだった仕事を別のドライバ―に割り振り、休みを認めてくれる運送会社が多いです。
ただし、ドライバ―が不足していて仕事をカバーすることが難しく、急な休みを認めない運送会社があるのも事実です。
特に繁忙期は契約しているドライバーに対して案件数が多くなりがちであり、稼働を強要されるケースも十分考えられます。
大きなケガ・病気の場合
大きなケガや病気により業務を継続することが難しく、長期間働けなくなってしまうケースもあるでしょう。そういった場合、正社員やアルバイトであれば休職が認められる場合がほとんどですが、業務委託ドライバーはそうはいきません。
業務委託ドライバーの長期間に渡る休みは認められないケースがほとんどであり、契約解除となるケースが一般的です。中には働けなくなった分の損害賠償を請求してくる運送会社もあり、弁護士への相談が必要となる可能性もあります。
業務委託ドライバーが休むと収入はどうなる?
お伝えした通り、業務委託ドライバーは正社員とは違って福利厚生を受けられません。そのため、急な忌引や体調不良で休んでも有給休暇を取得することはできません。業務委託ドライバーが仕事を休むと、その分の収入は補填されずゼロとなります。
休みが収入の減少に繋がってしまうことは、業務委託ドライバーの大きなデメリットの1つだと言えるでしょう。なお、無断で休んでしまった場合は以下のような事態に発展する可能性も考えられます。
- ペナルティが発生する
- 契約を解除される
- 損害賠償を請求される
運送会社と個人で契約を結ぶため、自身で請けた仕事に対して正社員以上に大きな責任を持つことが求められると言えます。
【業務委託ドライバー】休みたい時に休むには
お伝えしているように、契約を結ぶ運送会社によっては休みたいのに休めないという事態になりかねません。休みたい時に休める環境を確保しておくため、委託元を吟味する際に注意すべきポイントをご紹介します。
- 契約を結ぶ前に委託元と条件をすり合わせる
- トラブルが発生したら専門家を頼る
運送会社によっては、ドライバ―にとって著しく不利な条件で契約を結ばせる悪質なところも存在します。そのため、必ず契約書の内容をしっかりと理解し、納得した状態で契約を結ぶことをおすすめします。
強引に契約を結ばせようとしてくるケースも多いですが、自分を守るためにも強い意思を持った毅然とした対応を取ることが大切です。
既に悪質な委託元と契約してしまい、トラブルに巻き込まれそうな場合もあるでしょう。そういった問題を1人で解決しようとすると、うまく言いくるめられ、ドライバ―が損をする方向に話を進められてしまう可能性が高いです。弁護士のような専門家に相談することをおすすめします。
【業務委託ドライバー】休みに関するルールを知っておこう
業務委託ドライバーとして従事していると、急に休まなければならなくなるタイミングは必ず訪れます。休みたい時に休める環境を整えたり、不当な金銭の支払いを強いられるのを防いだりするためにも、休みに関する正しいルールを把握しておくことが重要です。
個人事業主として活動する以上、自分が稼働する環境は自分で守らなければなりません。今回ご紹介した内容を生かして契約する運送会社を選び、自分自身の力で働きやすい環境を整えてみてください。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。