個人事業主の軽貨物ドライバーは成果報酬制の元で稼働することが一般的であり、頑張れば頑張っただけ稼げるのが大きな特徴です。
ただ、軽貨物ドライバーと契約を結ぶ運送会社の中には、稼ぎたい、頑張りたいというドライバーの思いを悪用して詐欺を行うところも存在します。様々な誘い文句を駆使し、ドライバーをだますような形で不当にお金を支払わせる事例は決して珍しくありません。
中でも代表的な事例として挙げられるのが、内職商法と呼ばれる手口です。本記事では、軽貨物ドライバーにぜひ知っておいてほしい内職商法について解説していきます。
目次
軽貨物の内職商法とは
内職商法のターゲットとなるのは、これから軽貨物ドライバーの仕事をしたいと考える方です。悪質な運送会社は巧みな誘い文句でドライバーに新車を購入させ、自動車販売会社から数十万円のマージンを受け取ります。
内職商法によって新車を購入させられて以降は、紹介してもらえる案件数が極端に少ない、または存在しないケースが多いです。
新車を購入するために多額の費用を先行投資したはいいものの、案件数が不十分なために回収できず、多額の負債を抱えるリスクがあるというのが、内職商法の怖さだと言えます。
【軽貨物】内職商法のよくある手口

内職商法において軽貨物ドライバーに新車の購入を決意させる具体的な手口として、主に以下の3つが挙げられます。
高収入をにおわせる
「月収50万円」「すぐに稼げる」といった一見魅力的なキーワードでドライバーの興味を引こうとするのは、内職商法の常習的な手口の1つ。実際は案件を紹介してもらえない、配送単価が安すぎるなど、聞いていた情報とはかなり大きなギャップがあるケースが大半です。
ドライバー業に従事した経験がない方は特に、相場を大きく上回る金額を提示されても違和感に気付けず、そのまま契約してしまう事例が多いようです。
フルタイムで稼働するドライバーの報酬の相場は1日で約10,000〜15,000円、1ヶ月で約20〜50万円だと言われているため、目安として頭に入れておくと良いでしょう。
新車購入を条件に仕事を斡旋すると持ちかける
初めて軽貨物ドライバーとして稼働しようとしている方は、配送車として利用できる車両を持っていないとして、特に内職商法のターゲットとなりやすい傾向にあります。
未経験ドライバーの「安定的に案件を請けられるか不安」という思いを悪用し、新車を購入してくれたら優先的に案件を割り振るなどと謳う手口も多く見られます。
上記のようなケースでは、実際には案件をほとんど紹介してもらえない、不当に高額なロイヤリティが発生する案件ばかり紹介されるといった可能性が高いです。
新車の購入を強く促してくる運送会社には疑いの目を向け、本当に契約して良いかどうかを慎重に見極めるべきでしょう。
ローン契約を提示して費用負担が少ないように見せかける
内職商法で新車の購入を持ちかけてくる運送会社の中には、ローン契約を提示してくるところも多いです。ローン契約を結べばコストを抑えられるように思えますが、無茶な条件が隠されており、一括で購入するより負担が大きくなる場合も少なくありません。
案件を割り振ってもらえないためにローンを返済できず、負債と新車だけが残ってしまうという事態は避けたいものです。
昨今は軽貨物車を所持していなくても、ほとんどの運送会社においてレンタルやリースで確保することができます。現金で一括で購入したい、リースやレンタルで契約したいといった希望に難色を示す運送会社は、内職商法を狙っている可能性が高いと考えて良いでしょう。
軽貨物ドライバーが内職商法に遭わないために

ここからは、軽貨物ドライバーが内職商法に遭わないために意識したいポイントを解説していきます。
業者の情報を入念に集める
運送会社の情報を事前にしっかりと確認することで、悪質な委託元を回避しやすくなります。
求人情報には運送会社にとって都合の良い情報しか記載されていないことも珍しくないため、ホームページやSNSなども丁寧にリサーチしましょう。特に、第三者によるフラットな評価を確認できる口コミは入念に確認することをおすすめします。
加盟金・新車購入ありの求人は避ける
運送会社と委託契約を結ぶ場合、本来であれば加盟金は発生しません。しかし、中には知識が浅いドライバーを狙い、新車のローンを契約する際に加盟金の支払いを要求してくる委託元も存在します。
たとえ少額であっても、加盟金の支払いを求めてくる運送会社には十分に注意してください。
「新車購入あり」と謳う求人も同様に避けるべきです。良心的な運送会社の多くは、ドライバーに配送車の持ち込みを許可しています。できる限り車の持ち込みが可能な案件を選ぶと、内職商法に遭うリスクを避けられるでしょう。
大きな先行投資には慎重になる
委託元や案件の質に関わらず、軽貨物ドライバーとして稼働し始めたばかりの頃は案件数を十分に確保したり素早く荷物を配送したりできず、収入を安定させることは難しいです。そのため、大きな初期投資はできる限り避ける方が無難だと言えます。
加盟金の支払いや新車の購入などで高額な支払いを求められたら一度立ち止まり、本当に適切な投資であるかどうかを吟味するべきです。例えば、新車の購入を検討する際には、リースやレンタルの利用、中古車の購入などで代替できないかを考えられると良いでしょう。
軽貨物ドライバーが内職商法の被害に遭ったら

万が一内職商法の被害に遭い高額な負債を抱えてしまったら、以下のように対応してください。
消費者センターに相談する
内職商法に遭ったかもしれないと感じた時点で、弁護士事務所や国民生活センターといった機関に相談しましょう。専門的な視点からアドバイスを受けられます。
時間が経てば経つほど委託元が逃げ、泣き寝入りすることになってしまう可能性が高まるため、早めの行動を心掛けるようにしてください。
契約内容を再確認する
契約書や契約に至るまでのやり取りの記録が残っている場合は、改めて一通り確認してみてください。不明確な表現や必須項目の不足といった細かなポイントから、解決のきっかけが見つかるかもしれません。
万が一の事態に備えて、運送会社と連絡を取り始める段階から書面や通信の記録を残しておくよう心掛けておけると良いでしょう。
内職商法だけじゃない!悪徳な運送会社による詐欺の事例
内職商法の他にも、悪徳な運送会社が以下のような手口で不当に高額な支払いを要求したり、ドライバーが稼ごうとするのを邪魔したりするケースも散見されます。
- 高額なロイヤリティの支払いを強いる
- 不当な手数料・違約金の支払いを強いる
- ドライバーに案件を割り振らない
- 契約を解除させてもらえない
こうした事例のほとんどは、委託元が契約書の目立たない位置に記載したドライバーにとって不都合な内容を見落としてしまうことによって発生します。
厄介なトラブルに巻き込まれないよう、契約書の内容を隅々まで読み込み、疑問点を全て解消した上で契約を結ぶようにしてください。
軽貨物ドライバーが注意したい運送会社とのトラブルについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
内職商法を見抜いて良心的な運送会社と契約しよう
軽貨物ドライバーとして頑張りたいと意気込む方の思いを悪用する内職商法は、特に未経験の方にとって大きな脅威となり得ます。しかし、前もって入念に情報を収集すれば、内職商法を未然に見抜くことも十分可能です。
今回お伝えしたポイントを踏まえて良心的な運送会社を見極め、ドライバー業に集中できる環境での稼働を目指してみてください。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。