個人の軽貨物ドライバーとして活動する方の中には、委託元の運送会社からレンタルしたりリース契約を結んだりせず、自身で配送車を確保する方もいるでしょう。自分の配送車で軽貨物運送事業を営む際には、車両の黒ナンバー登録が必須となります。

黒ナンバーを取得する方法や必要書類は一般的なナンバー登録とは異なるため、どのように手続きを進めていけば良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、黒ナンバーを取得する際の必要書類に注目し、書き方や提出先などを詳しく解説していきます。

黒ナンバーとは

黒ナンバーとは、貨物軽自動車運送事業(軽貨物車を使って荷主の荷物を有償で届ける事業)に使われる車両に取り付ける、黒いナンバープレートのことです。

また、黒ナンバー車というと、一般的には軽貨物ドライバーが運転するような軽バン、あるいは軽トラックを指します。

軽貨物ドライバーは、使用する配送車を黒ナンバー登録しなければ荷物を運ぶことができません。自身で配送車を確保するドライバ―にとって、黒ナンバー登録は事業をスタートさせる上で必須となる手続きの1つです。

黒ナンバーを取得する要件・流れ

黒ナンバーを取得するためには、以下の要件を満たすことが求められます。

  • 1台以上の軽貨物車がある
  • 営業車/休憩所/車庫がある
  • 運送約款を用意する
  • 運行管理能力がある
  • 損害賠償能力がある

実際に取得する流れは以下の通りです。

  1. 必要書類を準備する
  2. 運輸支局に書類を提出する
  3. 軽自動車検査協会に書類・黄色ナンバーを提出する
  4. 黒ナンバーを取得する

本記事では、特に必要書類に注目して入手元や書き方などを詳しく解説していきます。取得要件や流れについては以下の記事に詳しくまとめていますので、興味のある方はぜひこちらも参考にしてみてください。

黒ナンバー取得時の必要書類

黒ナンバーを取得する際には、運輸支局と軽自動車検査協会の2箇所に必要書類を提出しなければなりません。

運輸支局に提出する書類

運輸支局には以下の書類を提出します。

  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書
  • 事業用自動車等連絡書
  • 貨物軽自動車運送事業運賃料金表
  • 運賃料金設定届出書
  • 車検証のコピー

貨物軽自動車運送事業経営届出書

貨物軽自動車運送事業経営届出書は、軽貨物運送事業を始める上で欠かせない書類です。同じものを2部用意しなければならず、1部は運輸支局へ提出し、もう1部は自身で保管しておきます

主な記載項目は以下の通りです。

  • 開始予定日(開業した日・開業届を提出する日)
  • 氏名・代表者氏名・住所・電話番号
  • 営業所の名称・位置
  • 事業用自動車の種別ごとの数
  • 自動車車庫の位置・収容能力
  • 乗務員の休憩または睡眠のための施設の位置・収容能力

運輸支局によって書式が異なる場合があるため、営業所がある地域を管轄する運輸支局のホームページに掲載されている記入例を参考にするのが良いでしょう。

国土交通省の特設ホームぺージから管轄の運輸支局をお探しいただけます。

参考:自動車検査登録ポータルサイト「全国運輸支局等のご案内」 

事業用自動車等連絡書

事業用自動車等連絡書は、軽貨物車としての申請が完了していることを運輸支局に証明する役割を担う書類です。貨物軽自動車運送事業経営届出書と同様に、1部は運輸支局へ提出してもう1部は保管してください

登録する車両について、種別や車体番号、年式、乗車定員といった項目を記載していきます。記入が完了したら運輸支局で押印してもらい、軽自動車検査協会に提出します。

貨物軽自動車運送事業運賃料金表

軽貨物ドライバ―が事業を始める際には、荷主に対して配送車の運賃として請求する料金を提示しなければなりません。以下のような料金を貨物軽自動車運送事業運賃料金表にまとめ、提出します。

  • 距離制運賃
  • 時間制運賃
  • 割増料金

運賃は基本的に自由に設定することが可能ですが、個人事業主の軽貨物ドライバーとして活動した経験がない場合は特に、適切な金額がわからない方も多いでしょう。

金額設定に迷った方は、各運輸支局にある貨物軽自動車運送事業運賃料金表の記入例に記載されている標準運賃を参考にしてみてください。

運賃料金設定届出書

貨物軽自動車運送事業運賃料金表で設定した料金を運輸支局に届け出る際には、合わせて運賃料金設定届出書も提出する必要があります。運輸局への提出用、運輸支局への提出用、控え用の計3部用意しておきましょう。

運賃料金設定届出書にはドライバ―自身や事業所に関する情報や、提出する運輸支局の支局長の名前などを記載します。

車検証のコピー

上記4つの書類に加えて、車検証のコピーの提出も必要です。申請する車両が新車の場合は、完成検査証のような車体番号が確認できる書面であれば問題ありません。

軽自動車検査協会に提出する書類

運輸支局に必要書類を提出したら、事業用自動車等連絡書に押印してもらった上で、軽自動車検査協会に以下の書類を提出します。

  • 申請依頼書(自分で申請する場合は不要)
  • 事業用自動車等連絡書(運輸支局で押印されたもの)
  • 車検証(原本)
  • 黄色ナンバー(前後2枚)
  • 住民票

軽自動車検査協会での手続きが完了したら、その日のうちから事業を開始することが可能です。ただし、事前に自賠責保険や任意保険に加入しておくことが求められる点に留意しておきましょう。

黒ナンバー取得にかかる費用・時間は?

黒ナンバーを取得する際に必要な手続きは、基本的に1日で完了させることができます。

ただ、場所によっては運輸支局や軽自動車検査協会が近くになく、移動に時間がかかることもあるでしょう。あらかじめ最寄りの機関の場所を把握しておき、時間に余裕を持って進めることをおすすめします。

また、黒ナンバーを取得する際に発生する費用は以下の通り。合計すると3,000円程度です。

  • ナンバープレートの取得費:約1,500円〜2,000円
  • 住民票・印鑑証明書の発行費:約500円
  • 車庫証明書の発行費:約500円

手続きを漏れなく行えるかどうか不安な場合は代行サービスを利用するのも選択肢の1つですが、黒ナンバー取得代行サービスの費用相場は約20,000~40,000円と言われています。所要時間がそれほど長くないことを考えると、自身で済ませる方がベターでしょう。

【黒ナンバー】税金や保険料はどうなる?

黒ナンバーを取得するメリットの1つとして、税金が安くなることが挙げられます。下表の通り、黄色ナンバーの自家用車に比べて黒ナンバー車の方が自動車税や重量税の負担は少ないです。

  自動車税 重量税
自家用車(黄色ナンバー) 5,000円 6,600円
黒ナンバー車 3,800円 5,000円

※重量税はどちらも新規登録から13年以上経過していない場合

一方、自賠責保険料は黄色ナンバーの自家用車、黒ナンバー車ともに17,540円となっています。保険会社によって異なりますが、任意保険に関しては自家用車に比べて3〜4割程高い料金設定がなされていることが一般的です。

黒ナンバー車の法定費用に関しては、下記の記事でさらに詳しく紹介しています。興味のある方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。

黒ナンバーを取得して軽貨物ドライバーとして活躍しよう

黒ナンバーの取得時には多くの書類が必要となり、大変なイメージを抱く方も多いでしょう。しかし、書類の記入や手続きは1日で完了してしまうため、ドライバ―にとってそれほど大きな負担とはならないはずです。

本記事を参考にしてスムーズに黒ナンバーの取得手続きを進め、軽貨物ドライバーとして事業をスタートさせてみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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