軽貨物ドライバーは稼げる、免許があれば誰でも始められるといったイメージを持たれがちですが、実際は厳しい側面もあります。ポジティブな要素だけを見て軽い気持ちで軽貨物ドライバーを始めてしまい、「嘘だらけ」だと感じてしまう方も多いです。

今回のコラムでは、軽貨物ドライバーに対するよくある勘違いと業界の実態を解説していきます。軽貨物ドライバーを嘘でだまそうとする悪質な委託会社についても取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。

軽貨物ドライバーってどんな仕事?

軽貨物ドライバーは軽バンや軽トラックといった車両を使用して、軽量かつ小型の荷物を指定された住所へ配送します。配送先は個人宅をはじめ、店舗や企業など様々です。軽貨物ドライバーの働き方は近年多様化しており、主に以下のような方法が挙げられます。

  • 運送会社に正社員・アルバイトとして勤務する
  • 運送会社と業務委託契約を結ぶ
  • 独立開業する

本記事では、個人事業主として運送会社と業務委託契約を結ぶ、あるいは独立開業するドライバーに注目して、その実態を紐解いていきます。

【軽貨物ドライバーは嘘だらけ!?】よくある勘違いと実態

個人事業主の軽貨物ドライバーには、案件量や収支などを自身で管理することが求められます。そのため、仕事の大変さや稼ぎやすさなどの体感は、ドライバー個人によって大きく異なってきます

インターネット上で軽貨物ドライバーに言及している情報を見ても、「やめとけ」「やばい」といった内容から「稼げる」「楽しい」のようなポジティブな意見まで様々です。

こうした情報の中から都合の良い意見だけを鵜吞みにし、軽い気持ちで事業を始めてしまうドライバーも少なくありません。

ここでは、軽貨物ドライバーに関するよくある嘘、勘違いを紹介するとともに、業界の実態をお伝えします。

  • 始めるのにほとんどお金がかからない
  • 免許があれば誰でもできる
  • 個人事業主になれば稼ぎやすくなる
  • 自由な稼働スケジュールで効率良く稼げる

始めるのにほとんどお金がかからない

数百万円以上の開業資金が必要となる美容サロンや飲食店に比べると、軽貨物運送業は事業を始める際のコストを抑えやすい業種だと言われています。ただし、「始めるのにほとんどお金がかからない」のはごく一部のケースです

軽貨物運送業を始める際に必要な費用の大半は配送車に関係しています。軽貨物ドライバーとして稼働する際に発生する費用は、配送車として使える車両を所有しているかどうかによって大きく変わってきます。

事業に使用できる車を既に所有している場合、事業用ナンバーの取得手続きや駐車場代などを合わせても5万円程度で開業することが可能です。しかし、新車を一括で購入する際には100万円以上の費用を確保しなければなりません。

必要となる開業資金をあらかじめ大まかに見積もっておき、余裕を持った資金繰りができると良いでしょう。まとまった資金を確保するのが難しい方は、車両代を分割払いする、リースやレンタルで車両を確保するといった方法で初期費用を抑えるのがおすすめです。

免許があれば誰でもできる

軽貨物運送業は、普通自動車免許を持っていれば誰でも始めることができます。しかし、実際に案件を請けて安定的な収入を確保できるかどうかは別の話です

正社員やアルバイトのドライバーとは異なり、個人事業主として稼働する軽貨物ドライバーは何もしなくても仕事を割り振ってもらえる、なんてことはありません。委託契約を結ぶ運送会社や案件を依頼してくれる荷主を自分で見つけ、仕事を確保することが必要です。

加えて、企業に直接雇用されるドライバーに比べ、個人事業主のドライバーは業務の質や結果を厳しく評価される傾向にあります。誤配や遅配、荷物の破損といった事態を引き起こしてしまうとペナルティが課され、契約を解除されてしまうケースも考えられます。

普通自動車免許を持っているだけでは、ドライバーとして成功することは難しいでしょう。

  • 案件を獲得しに行く姿勢
  • 好条件で案件を割り振ってくれる良質な依頼主や委託元を見極める力
  • ドライバーとしての評価を維持・向上させる配送スキル

上記を始めとする様々な要素が求められます。

個人事業主になれば稼ぎやすくなる

一般的に、個人事業主の軽貨物ドライバーは配送した荷物の個数に応じて報酬が決まる成果報酬制の元で稼働します。そのため、「高収入を狙える」「頑張った分だけ稼げる」といったイメージを持たれがちです。

しかし、実際は「思ったより稼げない」と感じる方も少なくありません。考え得る要因は様々ですが、よくあるケースとしては以下の2つが挙げられます。

  • 思ったより仕事を確保できずそもそも売上が少ない
  • 経費を差し引くと収入が少なく感じる

業務委託ドライバーの場合は特に、他のドライバーと案件の取り合いになるケースも多く、案件数の確保に苦戦する方も多いです。

がっつり稼ぎたいと考えている方は、複数の荷主や委託元と契約を結び、それぞれから割り振られた案件をうまく組み合わせながらこなしていく必要があります。

また、個人で活動する軽貨物ドライバーは以下のような費用を自身で支払わなければならず、フルタイムで稼働する場合、毎月5〜10万円の経費負担が発生します。

  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • オイル交換代
  • 自動車保険料

こうした実態を踏まえると、軽貨物ドライバーとして安定した収入を得るためには案件数を確保したり、経費を削減したりする工夫が欠かせないと言えるでしょう。

自由な稼働スケジュールで効率良く稼げる

働き方を自由に選択できることは、軽貨物ドライバーの魅力の1つです。フルタイムで、副業として隙間時間に、などとスケジュールを柔軟に決めることはできますが、完全に自分のペースで稼働することは難しいでしょう。

具体的には、依頼主から配送時間や場所を細かく指定される、固定シフト制で稼働しなければならないといったケースが考えられます。

加えて、自分が働きたいタイミングや稼働できる時間に合った案件があるとは限りません。副業として軽貨物ドライバーに従事している方は特に、効率良く稼ぐことはなかなか難しいと感じることも多いようです。

軽貨物ドライバーは要注意!悪質な委託会社による嘘

軽貨物ドライバーになる際に注意しなければならないのは、都合の良い情報を鵜呑みにしないことだけではありません。業務委託ドライバーとして活動することを検討している方は、委託元の運送会社による「嘘」にだまされず、自分自身を守ることが必要です

悪質な運送会社によって実際につかれる可能性がある嘘として、主に以下が挙げられます。

  • 報酬・稼働日程・業務内容が求人情報と異なる
  • ロイヤリティ・経費・違約金が実は高額だった
  • 案件を割り振ってもらえない
  • 配送車を不当に購入させられる
  • 未経験者向けの研修制度がない

悪質な委託元の中には、ドライバーを集めたいがために求人情報に魅力的な文言を記載し、都合の悪い情報はあえて伏せておくところも多いです。

求人情報に書かれていることだけを真に受けて契約してしまうと、想定とは異なる条件での稼働や高額なロイヤリティ、違約金の支払いなどを強いられる可能性も考えられます。

ドライバー業に従事した経験がない方は、研修制度の有無についても確認しておくべきでしょう。「未経験でも安心」「研修あり」などと謳っておきながら、実際はいきなり1人で現場に送り込まれるというケースもあるようです。

こうした運送会社と一度契約を結んでしまうと、辞めたいのに辞められない、違約金の支払いに追われて全く稼げないといった事態になりかねません。悪質な委託会社にだまされないために注意したいポイントについて、この後詳しく解説していきます。

悪質な委託会社にだまされないために

軽貨物ドライバーが悪質な委託会社にだまされないための注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 委託会社のホームページや口コミを確認する
  • 契約書をよく読んでからサインする

ドライバーに親切な委託元を見極めるためには、ホームページや口コミなどで運送会社の情報を事前にしっかりと集めておくことが大切です。特に、実際にドライバーとして活動していた方の口コミは、運送会社の客観的な評価を確かめるのに役立ってくれるでしょう。

運送会社の中には、ドライバーにとって都合の悪い条件を契約書の目立たない場所に小さく記載する悪質なところも存在します。

契約書を交わすと書面の内容に全て同意したとみなされてしまうため、必ず隅々まで読み込み、疑問や不安を全て解消した状態でサインするようにしてください。

嘘にだまされず正しい情報を集めよう

これまで嘘や厳しい側面について解説してきましたが、軽貨物ドライバーが魅力的な職種であることは間違いありません。案件数を安定的に確保して配送スキルを高めていけば、高収入を目指すことも十分可能です。

希望する報酬や働き方を実現させるためには、今回ご紹介したような嘘に惑わされず、正しい情報を集めることが重要だと言えます。

専門性の高いWebサイトや掲示板、ドライバーとして稼働したことがある方が情報を発信するSNSといった複数の媒体から情報を集め、しっかりと吟味することが大切です。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。