配送ドライバーとして活躍する上で大切なのは、安全に、効率良く、そして丁寧に配送することです。これらを実現させるためには、トラックの運転マナーを遵守するだけでなく、トラックへ正しく荷物を積み込むことが欠かせません。

今回のコラムでは、配送ドライバーにぜひ実践してほしい、トラックへ荷物を積み込む際のコツを詳しく解説していきます。

荷物の積み込みはドライバーにとって重要な作業

以下の3点から、配送ドライバーにとって荷物の積み込みは非常に重要です。

  • ドライバーの安全を守る
  • お客様に届ける荷物が傷つくのを防ぐ
  • 配送効率をアップさせる

ドライバーの安全を守る

配送ドライバーと聞くと配送車に荷物を積み込んで運ぶだけというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、その過程には多くの危険が潜んでいます。実際、以下のような事故が数多く発生しており、中には死亡事故に発展するケースも。

  • 積み込み作業中にトラックの荷台から転落した
  • トラックから荷物が落下して他の車に当たってしまった
  • 積み込んだ荷物が崩れて運転中にバランスを崩した

こうした事故の中には、トラックへの荷物の積み込み方を誤ったことが原因で発生するものもあります。トラックに正しく荷物を積み込むことは、ドライバー自身や周囲の方の安全を守ることに繋がるのです。

お客様に届ける荷物が傷つくのを防ぐ

トラックを運転していると、段差を乗り越える際の振動や急停止をする際の揺れなどで荷物に大きな衝撃が加わってしまうことは避けられません

トラックへの荷物の積み込みがいい加減だと、運転中の衝撃で段ボールに穴が空いたり凹んだり、中の荷物が破損したりしてしまう可能性があります。

詳しくは後述しますが、できる限りきれいな状態でお客様へ荷物を届けるためには、横揺れや衝撃に強い積み方を取り入れることが大切です。

配送効率をアップさせる

トラックへの荷物の積み方は配送業務の効率にも影響を及ぼします。闇雲に荷物を積み込んでしまうと、配送先でトラックから荷物を下ろす際にどこに積んであるかがわからず、いちいち探さなければなりません。

届ける荷物をすぐに取り出せる状態を維持できるよう積み方を工夫すれば、配送効率を大幅にアップさせることができます。業務委託ドライバーのように成果報酬制の下で働く方は特に、同じ時間で配送できる荷物の個数を増やせば収入アップを狙うことも可能です。

トラックへ荷物の積み方の基本原則

トラックへ荷物を積み込む際には、以下の基本原則に従うことが求められます。

  • 全体のバランスを考慮する
  • 重い荷物は下に・軽い荷物は上に積む
  • 荷物どうしの高さを揃える
  • 隙間やはみ出しを作らない
  • 配送順を考慮する

全体のバランスを考慮する

大前提として、配送車全体のバランスを考慮して積み込む必要があります。トラック全体のバランスを考慮せず重量のある荷物を前後左右のいずれかに偏らせて積み込んでしまうと、荷台のバランスが崩れやすくなります。

重量の大きな荷物を運ぶトラックが走る際、荷物には連続で大小の地震に見舞われるような衝撃が加わると言われています。どれだけ丁寧に運転していても、荷物の積み方が間違っていると簡単に崩れてしまうでしょう。ハンドル操作を誤ると重大事故に繋がりかねません。

なお、荷物の積み込み過ぎにも注意が必要です。トラックの最大積載量を超えて荷物を積み込んでしまうことも、荷物が崩れやすくなる要因となり得ます。トラック全体のバランスを考慮して荷物を積み込むことは、安全に荷物を配送するために非常に重要だと言えます。

重い荷物は下に・軽い荷物は上に積む

重い荷物は下に、軽い荷物は上に積み込むことを徹底するようにしてください。

重量のある荷物を上に詰め込んでしまうと、下にある荷物がつぶれてしまい、中身が破損してしまう可能性があります。荷物を受け取ったお客様を不快にしてしまえば、ドライバー個人だけでなく企業の信頼も損ねてしまうでしょう。

重い荷物を下に積むことには、積み上げた荷物が崩れるのを防ぐ効果もあります。重心が安定すれば、先述したような運転時に発生する大きな衝撃に耐えやすくなるため、積み上げた荷物全体が安定して配送中の事故を防止することが可能です。

荷物どうしの高さを揃える

配送する荷物のサイズに応じて、梱包する段ボールの大きさは変わってきます。個人向けに様々な商品を配送する場合は特に、積み込む段ボールの高さについても考慮するべきです。

いろいろな大きさの段ボールをまとめて積む場合でも、できる限り同じ高さの荷物を揃えて積み込むことをおすすめします。荷物を複数段積んでも安定しやすくなり、振動によってバランスが崩れるリスクを軽減させられます。

隙間やはみ出しを作らない

高さを揃えることに加え、荷物どうしの隙間やはみ出しを作らないよう意識できるとなお良いです。隙間やはみ出しがあると運転中の振動で他の荷物や荷台の壁とぶつかり、段ボールの角が潰れたり凹んだりしてしまう可能性があるためです。

大きさの違う段ボールが混在していると、きれいに並べるのが難しい場合もあるでしょう。どうしても隙間やはみ出しができてしまう場合は、毛布やクッション、畳んだ段ボールなどを緩衝材として間に入れたり、ロープやベルトで固定したりすることをおすすめします。

配送順を考慮する

先述したように、配送する荷物をトラックから積み下ろす際にどこに何の荷物があるかを把握しておけば、業務をよりスムーズに進めることができます。

闇雲に荷物を積み込んでいると、積み下ろす際にいちいち荷物を探さなければならず大幅なタイムロスが発生してしまいまいます。

荷物を積む前にある程度配送する順番をイメージしておき、先に配送する荷物を手前に、後に配送する荷物を奥に積み込むと良いでしょう。

ある程度配送が進んで荷台のスペースに余裕が出てきたら、次に配送する荷物を手前に寄せるといった工夫をすると、配送業務のさらなる効率化を目指せます。

パレットを使った荷物の積み方の種類

トラックへ荷物を積み込む方法は、ドライバーの手で1つずつ積み込む手積みと、専用の台を使って複数個の荷物をまとめて積み込むパレット積みの2種類に分けられます。

ここからは、パレットを使った代表的な荷物の積み方をご紹介します。それぞれ異なるメリットやデメリットを持つため、積み込む荷物の数やサイズ、中身に応じて最適な積み方を取り入れることをおすすめします。

積み方 概要 メリット デメリット
ブロック積み 最下段から最上段まで同じ方向に並べて積み上げる 素早く積み込める 横向きの振動に弱い
交互列積み 段ごとに向きを90度変えながら積み上げる 横向きの振動に強く荷物が崩れにくい 限られたサイズの荷物しか積み込めない
レンガ積み 段ごとに向きを180度変えながら積み上げる 荷物が崩れにくい・外から荷物が見えるため検品しやすい 限られたサイズの荷物しか積み込めない
窓積み レンガ積みの縦の列を1列増やして積む 外から荷物が見えるため検品しやすい 貨物の方向を気にする必要がある
ピンホール積み 段ごとに向きを180度変えて積む パレット中央に空気が通る穴ができて温度管理しやすい 一段に積める荷物が少なくなる
ダブルピンホール積み ピンホール積みの中央の隙間部分を2つにして積む ピンホール積みよりも荷物どうしの隙間が少なくなる 手作業で行う場合は生産性が落ちる

引用元:https://www.souco.space/borrower/pallets/column/palette-pattern/

手で荷物を積む場合も、上記の積み方を参考にすれば荷物全体のバランスを安定させやすくなるでしょう。普段の業務においてパレットで荷物を積んでいる方だけでなく、手積みを取り入れている方も一通り頭に入れておけると良いです。

正しく荷物を積み込んで安全に丁寧に配送しよう

トラックへの荷物の積み込みは、配送業務において大きな役割を担っています。荷物の積み込み方を工夫することで、ドライバーや周囲の方を事故から守れるだけでなく、荷物を傷つけず素早く配送することが可能になります。

ただし、荷物をきれいに積むことにこだわりすぎて微調整を繰り返していると時間がかかりすぎてしまい、大幅なタイムロスが発生してしまうでしょう。今回ご紹介したポイントを押さえて、素早く荷物を積み込める最適な方法を自分なりに探ってみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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