業務委託ドライバーは基本的に運送会社から依頼された仕事をこなしていくことになりますが、そもそもは個人事業主。活動していく以上、毎年しっかりと確定申告を行う必要があります。

とはいえ、これから業務委託ドライバーになろうとしている方の中には、今まで確定申告を一度をしたことがないという方も多いでしょう。

今回のコラムで確定申告の基礎的なことを詳しくお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

業務委託ドライバーは確定申告が必須

冒頭でもお伝えした通り、業務委託ドライバーはあくまで個人事業主自身が得た収入に対して、しっかり確定申告をして税金を納めなければいけません

そもそも日本では所得税の納税にあたり、「申告納税制度」、つまり納税者が自分で所得税を計算、申告、納税しなければいけないという制度を採用しています。

個人事業主も例外ではありませんが、会社員のように誰かが代わりにやってくれるわけではありません。基本的には自分で行う、あるいは税理士に依頼して代行してもらうなどの処置をとる必要があります。

確定申告が必要になる条件

ちなみに確定申告を行う必要があるのは以下のいずれかの条件に当てはまっている方です。

  1. 所得が年間48万円以上の個人事業主
  2. 副業の所得が年間20万円以上の人
  3. 給与所得が年間2,000万円以上の人
  4. 不動産関連の所得がある人
  5. 一定の公的年金を受給している人
  6. 一定の株取引の利益がある人

このうち、業務委託ドライバーになろうとしている方に知っておいていただきたい条件は「所得が年間48万円以上の個人事業主」・「副業の所得が年間20万円以上の人」です。

年間所得が48万円以下の場合、基礎控除が差し引かれることで課税所得がゼロとなり、確定申告を行う必要はありません。

ただ、副業として行う場合は別です。所得が20万円以上ある場合、本業の勤務先が行ってくれる年末調整とは別に、自分自身で確定申告を行う必要があります。

業務委託ドライバーの確定申告はいつまで?

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの所得を翌年に申告することになりますが、申告時期は例年2月16日から3月15日です。(期日が土日曜日である場合は翌日の平日になります)

1ヶ月間と決して長くないので、前もって準備を進めておくことを強くおすすめします。

ただ、災害その他やむを得ない理由により期限までに確定申告が間に合わない場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請」を行い、その承認を受けることにより期限延長が認められることがあります。

新型コロナウイルスの影響により、正規の期限までの申告が難しい場合、例えば、新型コロナウイルスに感染し、療養していたことで申請が難しくなった等のケースも期限延長の対象になります。

業務委託ドライバーが確定申告をしないとどうなる?

業務委託ドライバーはある程度費用もかかる職業ですが、とはいえしっかり働けば確定申告の対象になるほどの所得は得られるでしょう。

それにも関わらず、確定申告を怠る、あるいは誤った内容で申告すると、以下のようなペナルティが発生します。

  • 無申告加算税が課される
  • 延滞税が課される
  • 過少申告加算税が課される
  • 重加算税が課される
  • 青色申告の承認が取り消される

無申告加算税が課される

延長制度に申し込むこともなく、申告期限を過ぎてしまった場合、無申告加算税が課されます。課税率に関してですが、納税額が50万円以下の場合はその15%、50万円を超える場合は20%と、割合も大きいです。

尚、以下の条件を全て満たしている場合は無申告加算税は免除されます。

1 その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。

2 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。

なお、一定の場合とは、次の(1)および(2)のいずれにも該当する場合をいいます。

(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

引用:国税庁

尚、期限から1ヶ月以上経過し、自主的に申告した場合の課税率は5%になります。

延滞税が課される

確定申告は行ったものの、所得税の納付が遅れた場合は延滞税が課されます。課税額は申告が遅れれば遅れるほど大きくなりますが、最大でもともとの納税額の14.6%となります。

過少申告加算税が課される

申告した納税額が本来の額より小さかった場合、その不足に加え、過少申告加算税が課されます。通常、課税率は不足額の10%ですが、その不足額がもともと申告した納税額、あるいは50万円のいずれかを上回っている場合、課税率は不足額の15%に上がります。

重加算税が課される

納税者が意図的に虚偽の内容で申告したことが発覚すると、重加算税が課されます。課税率は以下のように重く設定されています。

  • 無申告の場合:40%(無申告加算税とは別)
  • 過少申告の場合:35%(過少申告加算税とは別)
  • 過去5年以内に重加算税が課されていた場合:上記プラス5%

特に悪質だと判断されると刑事罰の対象になることもあり得ます。

青色申告の承認が取り消される

最後に青色申告の承認が取り消される可能性があるということも覚えておきましょう。

基本的には法人が対象になるペナルティですが、個人事業主でも帳簿の誤りがひどかったり、悪質な申告である場合は青色申告の承認が取り消される可能性があります。

業務委託ドライバーの確定申告の方法

確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれの特徴を簡単に解説していきます。

青色申告

青色申告のメリットはいくつかありますが、最も大きいのは65万円の特別控除が受けられるということです。特別控除は所得からその分を差し引くことができるので、納税額を大きく引き下げることができます。

他にも減価償却できる資産が10万円から30万円に引き上げられたり、赤字分を3年まで翌年以降に繰り越せるなど、節税面において様々な恩恵を受けられます。

事前に青色申告を行うための申請をする必要がありますが、個人事業主としてきちんと活動していく場合、基本的には青色申告をおすすめします。

白色申告

白色申告のメリットはとにかく書類の用意や手続きが簡単だということ。慣れてしまえば1日で書類などの準備を全て終えてしまうことも可能です。

青色申告とは違い、基本的な収支情報を記入するのみ。普段の帳簿についても簡易的なもので十分です。

青色申告のように大きな節税効果はありませんが、初年度でまだ納税額が少ないといった場合には白色申告でも良いかもしれません。

業務委託ドライバーの主な経費

どのような経費があるのか把握しておくことも忘れてはいけません。特に業務委託ドライバーの場合、ただ働いているだけでも様々な経費が発生します。

  • 車両代金
  • ガソリン代
  • 整備費用・税金
  • 保険料
  • 駐車場代
  • 携帯代

上記にある通り、特に大きいのは車にかかるコストです。業務委託ドライバーの経費の大部分を占めているので、普段からしっかりと記帳しておきましょう。

業務委託ドライバーの確定申告で控除されるもの

  • 雑損控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 寄附金控除
  • 医療費控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 地震保険料控除

これらが全てではありませんが、上記のような所得控除もあります。何かと見落としがちのものも多いので、節税のためにも漏れなく計算するように注意してください。

業務委託ドライバーも忘れずに確定申告を!

既に解説した通り、一定の収入がある業務委託ドライバーは必ず確定申告を行う必要があります。もし申告を怠る、あるいは誤った内容で申告してしまうと、ペナルティとして追徴課税が発生するため、忘れずに行いましょう。

また、初めて確定申告を行う方は簡単な白色申告を選びがちですが、節税の観点から見ても青色申告が望ましいです。開業届と一緒に、青色申告承認申請手続を行うのが良いでしょう。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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