個人事業主として活動する軽貨物ドライバーは、運送会社に直接雇用されている正社員やアルバイトとは異なり自ら案件を獲得しなければなりません。収入を確保するためには、案件を依頼してくれる荷主を探す力が求められます。
今回のコラムでは、軽貨物ドライバーの荷主探しの方法について詳しく解説していきます。軽貨物ドライバーが請けられる案件の中でも特に利益率が高い、直受け案件のメリットやデメリットについても取り上げますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも荷主とは?

荷主とは、荷物や商品の配送を依頼する個人や企業のことです。荷物を送り出す側を発荷主、荷物を受け取る側を着荷主と呼びます。荷物を送り出したり受け取ったりする個人や企業の他、物流会社や個人ドライバ―に配送業務を割り当てる依頼元も荷主に該当します。
つまり、軽貨物ドライバーは発荷主や着荷主、あるいは物流業務を委託する運送会社などから案件の依頼を請け、指定された場所へ商品を発送する役割を担うということです。
軽貨物ドライバーが荷主から依頼される案件の種類
荷主から軽貨物ドライバ―へ割り当てられる案件としては、主に以下が挙げられます。
- スポット配送:日時や配送先をピンポイントで指定される単発の案件
- チャーター便:特定の荷主のために一定期間車両を専用で貸し切る案件
- ルート配送:あらかじめ決められた配送先に定期的に荷物を届ける案件
スポット配送は緊急性が高く配送単価も高い傾向にある、ルート配送は荷主との付き合いが長くなり信頼関係を築きやすいなど、案件の種類によって異なる特徴があります。
それぞれのメリットやデメリットを踏まえた上で、自身の働き方に応じて効率良く稼げる案件を選んだり、荷主のニーズに応じて最適な配送方法を選択したりできると良いでしょう。
なお、スポット配送やルート配送については以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある方は、ぜひこちらも合わせてチェックしてみてください。
【軽貨物ドライバー】荷主探しの方法6選

軽貨物ドライバーが荷主を探す方法としては、主に以下の6つが挙げられます。
Point
・ドライバ―向けの求人サイトで探す
・配送マッチングサービスを利用する
・軽貨物案件の掲示板を活用する
・飛び込み営業をする
・ホームページやSNSで自身の情報を発信する
・同業者に紹介してもらう
ドライバー向けの求人サイトで探す
求人サイトでは、荷物の送り主や受け取り主から依頼された運送会社がドライバーの募集を行っています。
個人として稼働するドライバ―の場合、運送会社と業務委託契約を結んで案件を割り振ってもらうことが一般的です。ただ、中には特定の荷主の専属ドライバーとして案件を請けられるケースもあります。
- 多数の求人を比較検討できる
- 報酬や配送エリアなどを絞り込んで検索できるサイトもある
求人サイトのメリットとして挙げられるのは、上記の2点です。自身の希望する働き方に合った案件をスムーズに探しやすい方法だと言えるでしょう。
配送マッチングサービスを利用する
個人ドライバーが荷主を探す方法として近年急速に普及が進んでいるのが、配送マッチングサービスです。荷物を送りたい依頼主と運びたい運送会社やドライバーを繋ぐ役割を担っています。
配送マッチングサービスは荷主とドライバーを直接マッチングさせるため、中間マージンは発生しません。リーズナブルな価格で依頼できる荷主と利益率が高くなるドライバー、双方にとってメリットのある仕組みとなっています。
軽貨物案件の掲示板を活用する
軽貨物案件の掲示板では、案件の依頼主はドライバーの募集を、ドライバーは自身の年齢や性別、希望する案件の種類や報酬などを掲載することができます。中には求人サイトと同様に案件の種類を絞り込めるサイトもあるため、自分に合った仕事を見つけやすいです。
こうした掲示板の主な目的は荷主とドライバ―を繋ぐことですが、業界関係者であれば自由に書き込めるため、同業者との情報交換の場としても活用できます。
飛び込み営業をする
自ら営業活動を行って荷主を見つけるというのも選択肢の1つ。ドライバーの交渉力次第で、自身が希望する条件で契約を結べる可能性が高いのが大きなメリットです。
ただ、実際に案件を依頼してもらうためには、ドライバーとしての信頼を得ることが不可欠です。荷主にアピールできる実績はもちろん、営業スキルやコミュニケーション能力が求められます。
そのため、飛び込み営業はドライバー業に従事したことがない方にはおすすめできません。まずは研修制度が充実している運送会社と業務委託契約を結ぶといった方法で経験を積み、スキル向上に努めるのが良いでしょう。
ホームページやSNSで自身の情報を発信する
自身のホームページやSNSを活用して同業他社と差別化を図れるような強みを発信していくと、業界関係者の目に留まる可能性が期待できます。
ただし、業界での知名度が十分でないドライバ―は特に、ホームページやSNSを開設してすぐに多くのユーザーに見てもらうのは難しいでしょう。運送業者や荷主に情報が届くのに十分な拡散力を確保しようと思うと、年単位で運用を継続することが求められます。
手っ取り早く荷主を見つけて案件を割り振ってもらいたいという方は、こうしたWebメディアの運用と並行して求人サイトやマッチングサービスを利用するべきでしょう。
同業者に紹介してもらう
軽貨物業界では同業者どうしの横のつながりが強く、紹介によって荷主が見つかるケースも多いです。
- 軽貨物ドライバーの仕事をしている知り合いに声をかける
- 各都道府県の運送業協会や運送会社などが主催するイベントに参加する
上記のような方法で、同業者とのパイプを作っておいて損はありません。
軽貨物ドライバーが仕事を直受けするのはあり?

荷主と直接契約を結ぶ直受け案件は、中間マージンが発生せず売上の全額を報酬として受け取れるため、個人ドライバーにとって非常に魅力的です。
しかし、実績が十分でないドライバ―にとっては特に、荷主に飛び込み営業をかけて直受け案件を獲得することはかなりハードルが高いです。
ここからは、直受け案件の獲得に挑戦しようか迷っている方に向けて、直受け案件のメリットやデメリットを紹介していきます。
軽貨物の直受け案件のメリット
直受け案件のメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 中抜き・手数料がない
- 荷主と信頼関係を築きやすい
委託会社などを介さず直接コミュニケーションを取ったり、依頼された業務をしっかりと遂行したりすることで、荷主との信頼関係を深められます。
ドライバーとしての評価が高まれば、継続的に案件を割り振ってもらえる、仕事を紹介してもらえるといった可能性も期待できるでしょう。
軽貨物の直受け案件のデメリット
上記のようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットには留意が必要です。
- 案件に対する責任が重い
- 荷主を見つけるのが難しい
- 交渉力が求められる
仲介してくれる運送会社などがいない分、案件に対する責任は全てドライバーに直接のしかかります。万が一ミスがあれば信頼が大きく損なわれ、解約に直結しかねません。交通渋滞による遅延や荷物の破損といったリスクを徹底的に管理することが求められます。
個人で稼働する軽貨物ドライバーが直受け案件を担う場合、自分で荷主と交渉して報酬や担当する業務の範囲などを決定しなければなりません。交渉がうまくいかなければ、ドライバーにとって不利な条件での稼働を余儀なくされる可能性も考えられます。
交渉力に加え、市場の動向を踏まえて適正な価格を提示する、自身の能力に応じて引き受ける業務内容を決めるといった能力も求められるでしょう。
軽貨物ドライバーが荷主から選ばれるためのポイント
軽貨物運送業の市場規模が急速に拡大していることや、普通免許さえあれば事業を始められる手軽さなどを背景に、個人事業主の軽貨物ドライバーは年々増加傾向にあります。
多くのドライバーが案件獲得を目指す中で荷主から選んでもらうためには、以下のポイントを意識するのが良いでしょう。
- 実績を積む
- 複数の営業方法を組み合わせる
荷物をきれいな状態で指定の場所に届けてもらいたい荷主にとって、ドライバーが業務を確実に遂行してくれるかどうかは非常に重要なポイントの1つです。運送会社などの後ろ盾がない分、ドライバー自身の実績は荷主が契約を結ぶ上で大きな判断材料となるでしょう。
数多くの案件をこなしたり難易度の高い案件を問題なく遂行したという成果を増やしたりすることで、数多くのドライバーの中から選んでもらえる可能性が高くなります。
荷主へのアプローチを強化するため、複数の営業方法を組み合わせるのも有効的です。例えば、求人サイトや掲示板ですぐに稼働できる案件を探しながらSNSを運用して長期的に業界内の繋がりを作っていく、といった方法が考えられます。
経験を積んで荷主に選ばれるドライバ―を目指そう
個人事業主として稼働する軽貨物ドライバーが担当できる案件の中でも、直受け案件は利益率が高く、効率良く稼ぎやすいです。しかし、経験の浅いドライバーがいきなり飛び込み営業をかけて、直受け案件の獲得を目指すのはあまり現実的ではありません。
まずは運送会社で正社員やアルバイトとして勤務したり委託契約を結んだりして業務に慣れ、スキルや実績、業界内での繋がりを確保した上で挑戦することをおすすめします。
この記事の執筆者

軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。