軽貨物ドライバーは普通免許と軽貨物車両があれば始められるため、独立し、個人事業主として稼働する方が多くいます。個人事業主になると、稼働時間の自由度や収入が上がるなど、多くのメリットがありますが、開業のためにいくつかの届出をしなければなりません。

この記事では、個人事業主になるメリットとデメリットを解説するとともに、必要な届出や、成功させるポイントについても紹介しています。軽貨物ドライバーの働き方もまとめているので、ぜひ合わせてご覧ください。

軽貨物ドライバーの働き方

軽貨物ドライバーとして働く場合、企業に所属するだけではなく、個人事業主として稼働する、法人を立ち上げるといったケースがあります。ここでは、個人事業主として稼働する際に、どのようなスタイルがあるのかを紹介します。

企業や個人との直接契約

企業や個人と直接契約を結べば、中間マージンや手数料が発生しないため、経費を削減することが可能です。ただし、直受けは荷主探しから報酬の交渉まで、すべて自分で行う必要があるため、配送業務以外の活動も多くなります。

荷主を探すときには、マッチングサービスや求人サイトを活用するほか、企業などに営業をかけて契約するのが一般的です。また、荷主からの信頼を積み上げることで、新たなクライアントを紹介してもらえることもあります。

FC(フランチャイズ)や業務委託

FC契約や業務委託契約を結ぶ「委託ドライバー」は、軽貨物ドライバーの働き方として最も一般的な方法になります。大手運送会社のFCに加盟すると、大手の看板で営業活動がしやすくなるほか、さまざまなサポートが受けられるといったメリットがあります。

最近では、通販サービスを行う企業が委託ドライバーを募集するケースも増えているので、案件探しに困ることは少ないでしょう。

また、業務委託と混同しやすいギグワークは、ほとんどの場合単発での受注になるため、安定した報酬を得るのが難しい傾向にあります。

個人事業主になるメリット

軽貨物ドライバーとして個人事業主になると、以下のようなメリットがあります。

  • 容易に開業できる
  • 自分のペースで働ける
  • 報酬の上限がない

軽貨物運送業は、開業にあたって審査などがなく、届出を行うだけで開業できます。普通免許、貨物車両、車庫などがあれば開業できるため、参入のハードルが低いのが特徴です。

会社員ではないため、出退勤の時間が決まっておらず、自分のペースで働けることも魅力。ただし、業務委託の契約条件によっては、時間的にある程度拘束されるので、自由度が低いケースもあります。

このほか、報酬の上限がなく、働き方次第で報酬を増やすことができるのも大きなメリットです。

個人事業主になるデメリット

個人事業主になると、自由度は高まりますが、一方で次のようなデメリットも発生します。

  • 配送以外の業務がある
  • 収入が不安定になる場合がある
  • 社会的信用が低い

収入を上げるためには、荷主を増やしたり単価を上げたりする必要があるため、営業や交渉などの活動が必要になります。このほか事務作業も行わなければならないため、配送以外の業務に時間をとられることも少なくありません。

また、体調不良や閑散期など、さまざまな理由で収入が不安定になるケースも考えられます。個人事業主は法人に比べて社会的な信用が低いため、融資や賃貸契約の際に不利になる可能性も考慮しておきましょう。

個人事業主の軽貨物ドライバーに必要な免許と届出

軽貨物ドライバーとして個人事業主になる際には、審査こそないものの、さまざまな届出が必要になります。取得しなければならない免許の種類と合わせて確認しておきましょう。

普通自動車免許

軽貨物運送業に特別な資格や運転免許は必要なく、普通免許を取得していれば誰でも開業することが可能です。会社員の募集であれば、「運転免許取得から〇年以上」などの条件が明記されていることもありますが、開業にあたっては免許の保有年数は関係ありません。

ただし、将来的に軽貨物ドライバー以外の運転手になりたいといった目標がある場合は、必要に応じた免許を取得する必要があります。運転免許の種類はMTでもAT限定でも問題ありませんが、トラックの運転も検討している場合はMTでとっておくとよいでしょう。

黒ナンバー

軽貨物運送業を始めるためには、黒ナンバーの取得が必要になります

黒ナンバーは営業用のナンバープレートで、軽自動車検査協会に事業用自動車等連絡書を提出することで得られます。今まで使用していた車のナンバープレートを変更した場合、任意保険の使用目的も変わるため、速やかに自動車保険の代理店に連絡しましょう。

正式な手続きの前に走行する場合は、その旨を伝えておく必要があります。事業用ナンバーは任意保険の保険料が高く設定されていますが、自賠責保険に比べて保障の範囲が広いので、なるべく加入するようにしてください。

開業届

個人事業主として開業する際には、開業届を提出しておくとよいでしょう。開業届は、事業のスタートから1ヶ月以内に税務署に提出してください

開業届を提出する際は、青色申告承認申請書もあわせて提出するのがおすすめです。青色申告は最大65万円の控除適用が受けられるため、大きな節税効果があります。開業届の提出は必須ではありませんが、青色申告する場合には届出が必要になるので注意してください。

また、事業用の口座やクレジットカードの申し込みをする際には、開業届の写しが必要になることもあります。

【軽貨物ドライバー】開業にかかる費用

軽貨物運送業の開業には、一般的に以下のような費用が必要になります。

  • 運転免許取得費
  • 車両取得費
  • 自賠責保険
  • 任意保険
  • 駐車場代
  • 営業所賃料 など

運転免許はMTまたはAT限定のどちらでも構いませんが、AT限定の方が取得費用を抑えることが可能です。軽貨物運送業には軽貨物車が必要になるため、新車や中古車を購入するほか、カーリース、レンタルサービスを利用するのもよいでしょう。

また、加入が義務付けられている自賠責保険だけでなく、任意の自動車保険や損害賠償責任を補償してくれる保険への加入も検討する必要があります

このほか、営業所を設ける場合の賃料や駐車場代など、必要に応じてさまざまな費用がかかります。開業後には、ガソリン代や通信費、車体のメンテナンス費用などが発生するため、ランニングコストについても把握しておきましょう。

軽貨物運送業を成功させるポイント

軽貨物運送業は、特別な資格や許可が必要ないため比較的容易に開業できますが、簡単に成功できるわけではありません。個人事業主の軽貨物ドライバーとして成功するためには、以下のような点に気を配る必要があります。

収支管理を徹底する

個人事業主の軽貨物ドライバーは、配送作業で得る報酬から、さまざまな経費を引いた金額が手取り収入になります。そのため、必要以上に経費がかかってしまえば、どれだけ良い報酬を得ても事業が回らないといった事態になりかねません。

また、収支の記録は税金の額にも関わってくるため、節税のためにもきちんと記録しておくことが大切になります。経費を抑える、定期的に固定費を見直すなどの工夫をして収支のバランスが崩れないようにしましょう。

一つの案件に頼らない

軽貨物ドライバーは、常に良い条件で契約できる荷主を探す必要があります。たとえ安定して案件がもらえている状況であっても、いつ契約が打ち切られるかわかりません。

一つの案件で安定した収入がある場合は、ついそこに頼ってしまいがちですが、先方の都合で案件が減るケースも考えられるため、他にも収入源があると安心です。日々の業務に加えて営業活動するのは大変ですが、定期的な営業は成功のために欠かせないポイントです。

軽貨物ドライバーで個人事業主になるなら忘れずに届け出を

多くの軽貨物ドライバーは、企業や個人との直接契約、業務委託契約、FC加盟などをして、個人事業主として運送業務を行います。開業する際に特別な資格や許可は必要ありませんが、事業用ナンバープレートの取得に関わる届出は忘れないようにしましょう。

軽貨物ドライバーは、開業のハードルは低いものの競争率が高いので、成功するためには収支管理を徹底する、定期的に営業活動を行うといった点が重要になります。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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