荷物の受け取り方の多様化やECの拡大などにより、軽貨物ドライバーの需要は年々高まっています。中でも業務委託ドライバーは、事業を始めるハードルの低さから近年注目を集めています。
手軽に稼働できるイメージが強い業務委託ドライバーですが、中には劣悪な労働環境や不利な契約内容での稼働を余儀なくされるケースもあるようです。実際、業務委託ドライバーとして活動する方からは「やばい」「やめとけ」といった意見が散見されます。
そこで本記事では、業務委託ドライバーの実態をお伝えするとともに、「やばい」「やめとけ」と言われてしまう要因を紐解いていきます。
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目次
そもそも業務委託ドライバ―とは
業務委託ドライバーは運送会社と業務委託契約を結び、個人事業主として配送業務を請け負います。正社員やアルバイトとして企業に直接雇用されて働くドライバーに比べ、大きな裁量を持って稼働できることが特徴です。
業務委託ドライバーの大半は、配送した荷物の個数に応じて報酬が支払われる成果報酬制の元で稼働します。頑張れば頑張るほど報酬を増やせる稼働形態であるため、しっかり稼ぎたい方にとっては収入を拡大させやすく、やりがいも大きいでしょう。
請け負う案件量やスケジュールを自身で調整できるため、稼ぎたい金額や自身のライフスタイルに応じて働き方を選択することが可能です。
自由度が高い一方で、正社員ドライバーのように福利厚生を受けたり経費を負担してもらったりすることはできません。業務の進捗や収支を自身で管理しなければならず、自己管理能力が求められる働き方だと言えます。
業務委託ドライバ―の実際の声
成果報酬制の元で収入アップを狙いやすいと言われる業務委託ドライバーですが、Q&AサイトやSNSを見ると以下のようなネガティブな声も目立ちます。
- 辞めたいのに辞めさせてもらえない
- 事前に聞いていたよりも稼げる金額が極端に少ない
- 休憩時間を確保できない
- 足を骨折したのに稼働させられる
- まとまった休みが取れない
- 1日12時間を超える稼働を日常的に強いられる
とはいえ、全ての運送会社が業務委託ドライバーにこうした過酷な労働環境での稼働を要求しているわけではありません。柔軟に稼働スケジュールを調整できたり、充実した研修制度を設けていたりと、ドライバーが働きやすいよう体制を整えている委託元も存在します。
業務委託ドライバーとして活躍し続けるためには、好条件で稼働できる運送会社を見極めることが重要だと言えるでしょう。運送会社と契約を結ぶ際に意識すべきポイントについて、記事の後半で詳しく解説していきます。
業務委託ドライバ―の収入はどれくらい?
業務委託ドライバーはライフスタイルに応じて自由な働き方を選択することができます。成果報酬制が導入されるケースが多いこともあり、業務委託ドライバーの収入は個人の配送スキルや稼働時間によって大きく変わってきます。
ただ、業務委託ドライバーの配送単価は約100〜200円、フルタイムで稼働した場合の年収は約400万円が相場だと言われているため、目安として頭に入れておくと良いでしょう。
相場に比べてあまりにも報酬が低い運送会社は要注意です。ドライバーにとって不利な契約や、過酷な労働環境での稼働を要求してくる可能性が高いと言えます。
業務委託ドライバ―が「やばい」と言われる要因とは
業務委託ドライバーが「やばい」と言われる要因として、以下の4点が挙げられます。
- 体力的な負担が大きい
- 長時間稼働が続く・休みが無いケースがある
- 不利な条件で契約を結ばされることがある
- 思ったよりも稼げないと感じることが多い
体力的な負担が大きい
業務委託ドライバーの配送業務では以下のような工程が発生するため、体力的な負担が大きくなりがちです。
- 重い荷物の積み下ろしを繰り返す
- 長時間運転する
- 荷物を持って集合住宅の階段を上り下りする
そんな中でも指定された時間に間に合うよう荷物を届けなければならないプレッシャーと常に向き合わなければならず、業務がつらいと感じてしまう方も多いようです。
厳しいノルマを課される、暑さや寒さが厳しい時期に稼働するといった条件下ではより疲労が蓄積しやすく、心身ともに追い込まれてしまうドライバーも少なくありません。
長時間稼働が続く・休みが無いケースがある
働き手の高齢化やEC事業の拡大によるニーズの高まりなどが影響し、運送業界では人手不足が慢性化しています。抱えている案件数に対して稼働できるドライバーが少ない運送会社では、1人あたりの稼働時間が長くなる傾向にあります。
本来であれば自分で働き方を調整できるはずの業務委託ドライバーであっても、長時間稼働や休日稼働を余儀なくされることは決して珍しくありません。
不利な条件で契約を結ばされることがある
業務委託ドライバーに案件を依頼する運送会社の中には、ドライバーの稼働時間や報酬の管理がずさんなところも多いです。中には、ドライバーにとって不利となる以下のような条件で契約を結ばせようとしてくる悪質な業者も存在します。
- 相場を大きく上回るロイヤリティを請求する
- 辞める際に違約金を設定する
- 急な休みや事故・荷物の破損に対して高額な賠償金を請求する
こうした運送会社と契約を結ぶと、高額の支払いを請求されて泣き寝入りする、辞めたくても辞められないといった「やばい」事態に巻き込まれてしまう可能性も考えられます。
思ったよりも稼げないと感じることが多い
個人事業主として活動する業務委託ドライバーは、配送業務に伴って発生する以下のような費用を自身で支払わなければなりません。
- 駐車場代
- 配送車のリース・レンタル代
- ガソリン代
- オイル交換代
- 保険料
フルタイムで稼働する業務委託ドライバーの場合、毎月約5~10万円の費用負担が発生すると言われています。経費がかさむとせっかく得られた報酬から差し引かれる金額が増え、「頑張っているのに全然稼げない」「報われない」と感じられてしまうでしょう。
業務委託ドライバ―が「やばい」事態を避ける方法
業務委託ドライバーが「やばい」と言われる理由は前述のように様々ですが、好条件で働ける運送会社を見極めることで防げるケースも多く存在します。ここからは、業務委託ドライバーが運送会社と契約を結ぶ前に意識したいポイントを紹介します。
- 委託業者の情報を入念にリサーチする
- 契約書を熟読する
- 業界の費用相場を把握する
委託業者の情報を入念にリサーチする
委託元が公開している求人情報には、ドライバーが魅力的に感じるような稼働条件だけが記載され、運送会社にとって不都合な情報は明記されていないことが多いです。
契約を結んでから都合の悪い事実を知って引き返せなくなるといったことがないよう、運送会社のホームページや口コミを事前にチェックしておくと良いでしょう。
委託元のホームページには運送会社の設立日や資本金といった情報が掲載されていることが多く、信頼度を判断する上で重要なヒントになってくれます。実際にドライバーとして活動した経験がある方の口コミを見れば、運送会社の客観的な評価を確かめることが可能です。
契約書を熟読する
運送会社の中には、ドライバーにとって不利な条件を契約書の目立たない箇所に小さく記載し、だますような形で契約を結ばせようとする悪質なところも存在します。そのため、契約書の内容を全て熟読した上で契約するかどうかを判断するべきです。
なお、契約を結んだ時点で契約書の内容に全て同意したとみなされてしまいます。契約書に記載されている内容に関して不明な点がある場合は、必ず事前に担当者に尋ねておくようにしてください。
業界の費用相場を把握する
運送業界で従事した経験がない方は特に、業務委託ドライバーの報酬や委託元に支払うロイヤリティなどの相場を大まかに把握しておくことをおすすめします。
業界全体で目安とされている金額の水準を知らないと、運送会社が相場から大きく離れた金額を提示してきても気付くことができないためです。
業務委託ドライバーとして活動する上で知っておきたい費用相場を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
- 配送単価:約100~150円
- 平均月収:約20~50万円
- 平均年収:約400~500万円
- ロイヤリティ:売上の約10~15%
- 月々の経費負担:約5~10万円
※フルタイムで稼働する場合
個人事業主として活動する以上、必要な情報は自身で集めなければなりません。最低限の知識を備えておくことは、自分の身を守ることに繋がります。
業務委託ドライバ―の契約は慎重に
「やばい」「やめとけ」などと言われる機会も多い業務委託ドライバー。悪質な委託元が多く存在するのも事実ですが、良心的な運送会社を見極めて契約を結べば、やりがいを感じながら自分のペースで稼働することも十分可能です。
運送会社について情報を集めたり、契約書を熟読したりと事前に十分な準備を行うだけでなく、疑問を全て解消した上で契約を結べるのが理想です。常に慎重な姿勢を忘れず、自分らしく活躍できる委託業者を選択してみてください。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
軽カモツネットは株式会社ギオンデリバリーサービスが運営する、軽貨物ドライバー向けの情報発信メディアです。運営元のギオンデリバリーサービスは2013年の設立以来、神奈川県相模原市を中心に業務委託ドライバーの開業支援や宅配サービスの運営など多岐にわたるサポートを行ってきました。拠点数は全国40カ所以上、約2,000名のドライバーが、日々安全で効率的な配送をご提供しています。軽カモツネットでは、軽貨物ドライバーの皆様のニーズに応え信頼される情報を発信してまいります。