普通自動車免許さえあれば経験がなくても始められるとして注目を集めている業務委託ドライバーですが、体力的な負担が決して小さくない仕事でもあります。体調不良で仕事を休まなければならないケースも考えられるでしょう。

個人で委託元と契約を結ぶ業務委託ドライバーも、やむを得ない場合は仕事を休むことが可能です。しかし、収入や契約に関する決まりは正社員やアルバイトとは大きく異なります。

本記事では、業務委託ドライバーが体調不良で休むケースに関して詳しく解説しています。長い間働けなくなる場合に備えて知っておきたい注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

業務委託ドライバーは体力的な負担が大きい

業務委託ドライバーに対して「荷物を配送車に積んで運ぶという単純な仕事をこなすだけ」というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、実際はかなり体力的な負担が大きいです。

業務委託ドライバーが体力を消耗するシーンについて、具体的に解説していきます。

荷物の積み込み・積み下ろし

業務委託ドライバーは運送会社から指定された集積所に出向き、担当する荷物を配送車に詰め込みます。そして、決められた配送先で荷物を積み下ろし、お客様の元に届けます。これだけ聞くと単調に思えますが、荷物の積み込みや積み下ろしはかなりハードな作業です

業務委託ドライバーが取り扱う荷物は比較的軽量で持ち運びやすい傾向にあります。しかし、しゃがんで荷物を持ち上げてから立ち上がり、配送車の荷台に積み込む作業を繰り返していると、たとえ軽い荷物であっても腰にかなりの負担が生じるでしょう。

長く活躍している業務委託ドライバーの中には慢性的な腰痛に悩まされている方も多く、痛みが悪化して業務に支障が出てしまうケースもあるようです。

長時間の運転

仕事を請ける量や配送エリアによって異なりますが、業務委託ドライバーの1ヶ月あたりの走行距離はおよそ2,000~5,000kmと言われています。長時間の運転は体力的な負担が大きいだけでなく、疲労に伴い集中力が低下すると事故発生のリスクが高まってしまいます。

  • 階段を昇り降りする
  • 夏の厳しい暑さの中荷物を運ぶ

加えて上記のような機会も多く、体力に自信がある方でも仕事に慣れるまではきついと感じてしまうかもしれません。

業務委託ドライバーは体調不良で休める?

企業に雇用される正社員やアルバイトとは異なり、業務委託ドライバーは有給休暇や介護休暇のような休暇制度を利用することはできません。急な休みへの対応は、委託元によって大きく異なります。

融通を利かせて急な体調不良による休みや長期の休みを認めてくれる運送会社も多くありますが、中には無理に稼働を強要されたり、契約を解除されたりするケースも。

休みたいのに休めないという状況に陥らないためにも、契約する運送会社を選ぶ際には急な休みへの対応を事前にチェックしておくと良いでしょう。

体調不良で休んだら収入はどうなる?

ここからは、業務委託ドライバーが体調不良で休んだ場合の収入について報酬形態別に解説していきます。

  • 完全固定報酬制
  • 固定報酬制+成果報酬制
  • 完全成果報酬制

完全固定報酬制

完全固定報酬制の場合、体調不良により数日間の休みがあったとしてもその分の報酬が支払われ、毎月一定の収入が保証されます

しかし、休んだ日数があまりにも多い、大きなケガや病気により長期間の休業を余儀なくされるといった場合は、契約内容の見直しを求められる可能性があります。

固定報酬制+成果報酬制

運送会社の中には、決まった固定報酬に加えて配送した荷物の個数に応じて成果報酬が上乗せされる報酬形態を取り入れているところもあります。そういった場合、数日以内の休みであれば固定報酬分をそのまま受け取れることが一般的ですが、当然成果報酬分は支払われません

休んだ分の収入がゼロになるということはありませんが、普段通り稼働する場合に比べるといくらか収入は減少します。

完全成果報酬制

業務委託ドライバーと契約を結ぶ委託元が採用している報酬形態として最も多いのが、ドライバーが配送した荷物の個数に応じて収入が支払われる完全成果報酬制です。体調不良で休むと荷物を全く配送できないため、その日の収入はゼロとなります

仕事量に応じて収入が決まる完全成果報酬制は、頑張れば頑張るほど収入アップを狙える点が魅力です。その一方で、予期せず思うように働けなくなると収入が不安定になってしまうことを頭に入れておくべきでしょう。

【業務委託ドライバー】体調不良でも無理は禁物

  • 委託元から稼働を強要された
  • 休んで収入を減らしたくない
  • 休むとノルマを達成できなくなってしまう

業務委託ドライバーの中には、上記のような理由で体調不良を我慢して稼働しようとする方も少なくありません。しかし、安全に業務を遂行できなくなってしまう可能性があるため、くれぐれも無理は禁物です。

体調不良を我慢しながら配送車の運転を続けていると、集中力が低下して思わぬ事故に繋がりやすくなってしまいます

例えば、熱がある状態だと周囲への注意や動作が鈍くなり、信号や歩行者を見落としてしまう可能性があります。ひどい腰痛を抱えていると、ハンドルやブレーキを瞬時に操作できないこともあるでしょう。

業務に支障が出そうだと感じたら無理をせず休むことは、事故による被害者を出さないことはもちろん、ドライバー自身を守るためにも非常に重要だと言えます。

長期の体調不良に備えて知っておきたい注意点

腰痛が悪化したり大きな病気にかかってしまったりして、長期的に休みを取らなければならないケースもあるでしょう。そういった事態に備えて業務委託ドライバーが知っておきたい注意点を2つご紹介します。

  • 労災保険は適用されない
  • 違約金が発生するケースもある

労災保険は適用されない

荷物の積み込みや積み下ろしで腰痛が悪化してしまったというように、仕事をしている最中にケガをしてしまったとしても、業務委託ドライバーは労災の給付対象とはなりません

労災保険が適用されるのは企業と雇用契約を結んでいる方のみであり、個人で委託元と契約している業務委託ドライバーは対象外であるためです。

従って、業務委託ドライバーが稼働中にケガをしてしまった場合、基本的にその治療費は自身の健康保険でまかなう必要があります。

違約金が発生するケースもある

業務委託ドライバーが体調不良で長期間働けなくなった際には、休職と同様の対処を取ることは難しく、契約の解除という形を取られることが一般的です

この時、結んだ契約の内容によっては「契約期間中にも関わらず契約を解除した」として違約金を請求されるケースもあるため注意しなければなりません。

委託元から強く請求されると、自身に非があるという罪悪感やトラブルになるのを避けたいという思いからつい支払いに同意してしまいがちです。

しかし、理不尽に高額な違約金を請求された場合は、弁護士に相談して解決できるケースもあるため、焦らず落ち着いて対処することが大切です。

業務委託ドライバーは体調管理の徹底が必須

お客様へ届ける荷物を預かる業務委託ドライバーは身体が資本です。収入を増やすために無理をして働いてしまう方も多いですが、交通事故や大きなケガを防ぐためにも、業務に支障が出そうだと感じたらすぐに休むようにしましょう。

また、業務委託ドライバーとして長く活躍するためには、日々の体調管理が欠かせません。自身の体調に応じて請ける仕事の量を調整する、休日に心身を回復させる時間を確保するなど、自分に合ったコンディションの整え方を見つけてみてください。

この記事の執筆者

軽貨物・業務委託ドライバーのための軽カモツネット

軽カモツネット編集部

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