普通自動車免許さえあれば誰でもすぐに始めることができる業務委託ドライバー。自身の頑張り次第で高収入を狙える職種として近年注目を集めています。
その反面、仕事に慣れるまでは体力的、精神的な負担が大きいのも事実。イメージとのギャップが大きく辞めたいと感じる方も少なくないのが現状です。
今回のコラムでは、業務委託ドライバーを辞めたいと考える方の心理や、実際に辞める流れをご紹介します。辞める際に起こり得るトラブルについても解説しますので、業務委託ドライバーを続けようか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
業務委託ドライバーを辞めたいと考える方の心理
業務委託ドライバーを辞めたいと考えている方の心理として、主に以下の5つが考えられます。
- 思った以上に稼げない
- 体力的につらい
- 精神的につらい
- 個人事業主としての事務作業が大変
- 契約内容と実情の差が大きい
思った以上に稼げない
業務委託ドライバーを辞めたいと感じる背景として最も多いのが、「思った以上に稼げない」ことです。
業務委託ドライバーは配送する荷物の個数が多ければ多いほど収入が増えていく成果報酬制の元で稼働するケースが一般的。頑張り次第で高収入を狙えるというイメージを抱いて稼働を始める方も少なくありません。
しかし、個人で仕事を請ける業務委託ドライバーは稼働中に発生する以下のような経費を全て自分で負担する必要があります。
- 車両のローン・リース・レンタル代
- 駐車場代
- 配送車のガソリン代
- オイル交換代
- 携帯代
稼働時間や配送エリアなどによって異なりますが、フルタイムで稼働すると毎月5万円以上の経費負担が発生すると言われています。想像以上に大きなコストがかかることから、「頑張っているのに稼げない」と感じる方も多いです。
体力的につらい
業務委託ドライバーは「荷物を決まった場所に届けるだけ」という印象を持たれがちですが、実際に働いてみるとそのハードさに驚く方も多いです。指定された場所に出向いてトラックに荷物を積み込み、配達先で荷物を積み下ろす工程では足腰をかなり消耗します。
また、業務委託ドライバーは請ける仕事の量を自分でコントロールすることが可能です。しかし、委託元や仕事内容によってはノルマを達成できず長時間にわたる稼働時間の延長を余儀なくされたり、休日稼働を強いられることも珍しくありません。
精神的につらい
業務委託ドライバーが担う作業は比較的シンプルであり、稼働中は1人で黙々と運転したり荷物を運んだりする時間がほとんどです。しかし、以下をこなさなければならないという点から精神的にプレッシャーを感じてしまう方も少なくありません。
- 時間指定の荷物を間に合うように配送する
- 配送する荷物が破損しないよう丁重に取り扱う
- 事故やトラブルに巻き込まれないよう注意する
- お客様からのクレームに対応する
業務に慣れると時間指定の荷物が混ざっていてもそれほど気にならなくなりますが、始めのうちは時間通りに配送できるか不安に感じてしまいがちです。配送時のマナーを守ったり、誤配しないよう正確な作業を心掛けたりと気をつけていても、やむを得ずクレームを受けるケースもあるでしょう。
こうした要因から大きなストレスを感じ、辞めたいと感じる方も少なくないようです。
個人事業主としての事務作業が大変
企業に雇用される正社員やアルバイトのドライバーとは異なり、個人で仕事を請ける業務委託ドライバーは、収入や稼働中に発生する出費を全て自分で管理することが求められます。
具体的には、毎月の収入や稼働中に発生する出費を全て帳簿に記録しておき、毎年確定申告をする必要があります。一連の手続きは所得額を抑えて節税することに繋がるため確実に行うべきですが、慣れていない方にとっては苦痛に感じられるかもしれません。
契約内容と実情の差が大きい
運送会社の中には、「月50万円以上稼げる」などと高収入や好条件をにおわせる文言を求人に盛り込み、ドライバーに不利な条件で契約書を交わそうとするところも存在します。
契約内容と実際の現場のギャップが大きく、以下のように「話が違う」と感じてしまうケースも少なくありません。
- 報酬が支払われない
- 配送車を用意したのに仕事を割り振ってもらえない
- 割り振られる仕事が多すぎる
- 高額な手数料を徴収される
こうした悪質な運送会社に辞めたいと申し出ても、受け入れてもらえなかったり、高額な違約金の支払いを命じられたりするケースが大半です。そのため、契約書を交わす前に良質な運送会社を見極めることが求められます。
【業務委託ドライバー】辞めたいと思ったら何をする?
先述したような理由で業務委託ドライバーを辞めたいと考えている方がすべきことは以下の通りです。
- 別の契約先や就職先の検討をつけておく
- 辞める理由と期日を決める
- 辞めたい旨を上司に伝える・引き継ぎを行う
- 必要な手続きを確認する
- 未払いの報酬を請求する
個人で仕事を請ける業務委託ドライバーは雇用保険に加入しないため、失業保険を受給できません。業務委託ドライバーを本業としている方は特に、仕事を辞めると生活が一気に苦しくなるケースも。早めに別の契約先や就職先の検討をつけておくことをおすすめします。
個人事業主としての活動そのものを辞める場合は、必要に応じて税務署や都道府県税事務所に以下の書類を提出しなければなりません。対象となる書類を必ず確認しておきましょう。
個人事業の開業・廃業等届出書 | 全てのフリーランス |
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青色申告取りやめ届出書 | 青色申告をしていた方 |
消費税の事業廃止届出書 | 消費税の課税事業者 |
個人事業税の廃業届出書 | 各都道府県に個人事業税を納めている方 |
所得税の予定納税額の減額申請書 | 廃業により前年から大幅に所得が低下する方 |
給与支払事務所等の開設 ・移転・廃止の届出書 |
従業員を雇用していた方 家族を青色事業専従者にしていた方 |
上記の書類の詳細については、国税庁や各都道府県のホームページに掲載されていますので、ぜひ一度チェックしてみてください。
また、業務委託ドライバーと契約を結ぶ運送会社の中には、お金の管理がいい加減なところも存在します。未払いの報酬がある場合はそのままにせず、必ず委託元に請求しましょう。
委託元とのやり取りを証拠に残しておいたり、弁護士に相談できる環境を整えておくと安心です。
業務委託ドライバーが避けるべき運送会社の特徴
業務委託ドライバーと契約を結ぶ運送会社によっては、不当な条件を提示される、トラブルに巻き込まれて辞めたくても辞められないといったケースが考えられます。契約を避けるべき悪質な委託元の特徴として、以下の5点が挙げられます。
- 報酬が低すぎる
- 報酬の支払いが滞っている
- 稼働時間が長すぎる
- 事故の際に補償を受けられない
- 配送車の点検・整備を怠っている
委託元や配送エリアによって異なりますが、成果報酬制の下で稼働する業務委託ドライバーの配送単価は約100~150円だと言われています。これより著しく低い報酬での稼働を強いる会社は、委託ドライバーの条件がかなり悪い可能性が高いため要注意です。
また、運送会社には常に事故のリスクを抱えて稼働する業務委託ドライバーの安全を守ることが求められますが、そうした責務を怠る企業も少なくありません。
配送車の点検や整備を怠っていたり、ドライバーが事故に巻き込まれた場合に多額の補償金を負担させたりする委託元は避けるべきでしょう。
辞めたいと感じたら信頼できる知人に相談しよう
業務委託ドライバーとしての稼働が苦痛であるにも関わらず、我慢し続けて身体や心を壊してしまうという事態は未然に防がなければなりません。反対に、簡単に辞めてしまい安定的に仕事を請けられないというケースも避けるべきでしょう。
業務委託ドライバーを辞めたいと感じたら、まずは信頼できる知人に意見を聞いて本当に辞めるべきかを冷静に見極めた上で、今回ご紹介した手順を踏むことをおすすめします。
この記事の執筆者
軽カモツネット編集部
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